青春☆広い世界へ
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「体育祭って何すんの?」
あの騒動から2週間が経ち、皆が体育祭と文化祭に向けて着々と準備を進める中、生徒会室に来ていたさゆなは雷菜に仕上げた書類を提出しつつ疑問に思っていたことを口にした。
「……え?」
「他校と共同なんか聞いたことないし」
「先代学園長が兄弟なのよ。切磋琢磨する名目で創立当初から体育祭と文化祭は猛虎と合同になっているの」
「へぇ〜、文化祭と体育祭やる場所も固定なん?」
「移動式のグラウンドが猛虎にできてから固定されてるわね、雨天決行できるし」
「いっ移動式?」
猛虎にはグラウンドの下にタイヤが備わっており隣に設置された競技場に行くこと雨天決行が可能となっている。
「さゆなはべつにどうでも良さそうだからいいけど」
「何?なんかあった??」
「黒服組にとってはオーディション場みたいなものだから気をつけなさい」
少し真剣な顔をした雷菜にさゆなは何を言われてるか分からない顔をする。
「猛虎も竜王も結構な人気者なのよ」
「制服可愛いって言うとったな、そういえば」
「うん、全然話聞いてないわね」
「え?」
盛大にため息をついていると扉が開き疲れきった弓榎が入ってきた。
「さゆな」
「え?お?ちょっ!!」
さゆなの顔を見た瞬間気力のなかった目が一気に見開かれ普段では考えられないぐらいの速さで近づく。
「さゆな」
「ハィ」
「手を組もう」
「はい?」
「ふぇ?」
突然の言葉にさゆなも雷菜さえも驚きを隠せない。だが本人は真剣だった。
「何の話なの?」
「ほんまそれ」
「雷菜も手を組む?」
「うん、説明は?」
「今回の体育祭の優勝者はなんと!文化祭の経費が全て無料なのだ!!何をするにしてもだよ?回るだけでもだよ?」
「どーでもいい」
さゆなだけが呆れるが、雷菜は弓榎と手を組んでいた。
「あれ?雷菜さん?」
「手を組みましょうとも」
「乗ると思ってたよ」
「さゆななら大丈夫」
「だよね!」
「おーい、本人意思聞いてへんでぇー」
さゆなをよそに2人の世界に入っていた。