青春☆広い世界へ

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テスト当日。
のんびりと関係の無い本を読む弓榎と梨絵。その隣でもうすぐ体育祭が始まるため利夏が作った資料に目を通しながら添削をしていた。

「さゆなのテストは上手くいきそうですか?」
「………無理」

梨絵の後ろの席で本を読んでいた弓榎は栞を挟んで顔を上げた。

「めずらしい……抜き打ちのテストですら、不平不満を言うどころか顔色も変えずに軽くこなす雷菜様が」
「私の事なら何にも問題なんかないわよ、でもね…」




〜昨日の課業後〜
図書館にて

『とりあえず今の時点で理解出来てない所は?』
『数学なんやけど』
『利夏の話だと2次不等式のところって聞いてるわ』

そう言って教科書を開き2次不等式の書かれている場所を探す。

『いや、その前に』
『ん?』
『分数ってどう解くん?』
『………ハイ?』
『だから分数ってどう解くん?しかもこの分数なんか飾りついてるし』

さゆなが指差す分数は帯分数の左に着いている数字。

『……え?』
『ん?』

〜終了〜




「飾りじゃないから!ってかまず数学じゃなくて算数の問題よ!!」
「……すごい、今まで生きてこれたことが」
「ほんとどうやって今まで生きてきたのか」
「あの」
「ん?」
「さゆなは転入生でしたよね?」

実はさゆなは夏休み明けに転入してきた転校生なのだ。
黒制服組が奇数だった為、雷菜は特に必要性も感じなかったこともありバディを組んでいなかった。

「何か問題あった?」
「入学試験より編入試験の方が問題を難しくしてるんじゃありませんでした?」
「「あ……」」

更に問題が深まるが、とりあえずは今受けているであろう試験が最大の問題点である。

「まぁ、とりあえず再テストは必ず1つあることは確かね」
「1つで済むの?」

素朴な疑問に雷菜は言われてみれば…と前回のテストを思い出した。

「……ちょっとバディ交換しない?」
「ヤダ」
「お断り致します」

食い気味で拒否られ雷菜はため息を深くついた。

「なんだ?天下の鳴沢が深刻なため息なんかついて」

現れたのはつり目が印象的な龍矢だった。

「龍ちゃん…バカはどうしたら治るか知ってる?」
「知るか」

深刻な割にどうでも良さそうだったため龍矢は教卓へ向かう。

「あっ、その馬鹿ならテスト終わってお前より深刻そうってかこの世の終わりぐらいの顔して、職員室で実技のくじ引きしに入ってきたけど、鼻歌歌いながらスキップして出てったぞ」
「実技って何?」
「今まで授業でしかS練をしてこなかったけど、今回からそれもテスト形式で行うんだと」
「「S練?」ですか?」
「白制服組のお前らにゃ縁もゆかりも無い話だよ、まぁ相方にでも聞け」

教卓に荷物を置いて時計をセットし黒板に時間表記をすると、龍矢はニッとニヒルに笑う。

「今は自分のことだけ考えな、テストの時間だ」
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