統一ZERO海賊団

□時に言葉より伝わる
1ページ/2ページ





利夏「懲りないねぇ」


そう呟く視線の先にさゆなが殴り倒し捻り倒していくチンピラの数々。
それを傍観しながら割り振りのお金で買った『家三』の手入れをしていた。


サッチ「利夏ちゃんてば戦闘員なの?」

利夏「サッチと一緒の戦うコックさんなの!」

サッチ「何この子!超かわゆす!」

エース「どこで銃なんか教わったんだ?
お前らのいたところ武器持てないんだろ?」


軽く大雑把に3人には説明をした。


利夏「僕、冒険家だったの
1人でいろんなところ旅して自分の身は自分で守らなきゃいけないでしょ?
出だしの頃、ちょっと世界を舐めてて本気で死にそうになった時があるの

その時、偶然通りかかった僕の国の警備隊みたいな人に助けられて

逃げ方を教えてくれたんだけど、そうも言ってられなくて、武器を持った

人間って不思議なもので本気で死にそうになったら、その後生きることがどんなに有意義で大切かわかるものなんだって
僕、だからこそコックになったの」

サッチ「そっか」


頭を撫でられる利夏。
それを見て雷菜は蹴散らしタバコを吸うさゆなを見ながら呟いた。


雷菜「あのバカにもそれを理解して欲しいんだけどな〜」

梨絵「ですね」


マルコもさゆなを見ると偶然こっちに歩いて来る途中で目が合う。
その瞬間明らかに嫌な顔をするさゆな。


さゆな「なんだよ」

マルコ「ガラが悪いよい」

さゆな「俺はこれでいいんだよ
そいつらだけで歩いてたら明らかに巻き込まれんだろうが」

エース「確かにお前ら可愛い顔してんもんな」

亜奈「さらっととんでもない殺し文句言った!!」

弓榎「年下興味ない」

雷菜「私も」

サッチ「俺っちは!?」

弓榎「たまに役立つ」

さゆな「弓榎が褒めてるぞ」

雷菜「明日は槍が降るかもね」

サッチ「褒め文句!?」

梨絵「ではマルコさんは?」

弓榎「さゆなが唯一勝てない相手」

雷菜「あはは!確かに!」

さゆな「やってみなけりゃ分かんねぇだろうが」

弓榎「不死鳥……叩くの?」

さゆな「うっ……それは…………」

マルコ「不死鳥だから銃で撃たれようと死なねぇよい」

さゆな「感覚があんのに死なねぇほど虚しいことねぇだろうが」

雷菜「それ動物だから言うけど人間だったら叩くんでしょ?」

さゆな「当たり前だ
どん底に突き落としてやる」

亜奈「えげつな……」

利夏「あっ!!
天国と地獄!!」

亜奈「ボーカルが歌のない曲選んだ!」

雷菜「あれは宴会の時とかにさ」

エース「何だ?その天国と地獄ってやつ」

弓榎「曲」


そう言って弓榎は手に持っていたフルートを口に当てる。
ため息を付きながら船の中から持ってきたシートの上に置いた楽器を準備する。

さゆなはドラム
雷菜はピアノ
亜奈はトロンボーン
弓榎はバストロ
利夏はピッコロ

そして海に向かって演奏を始めた。


この世界に来て初めての島で、それぞれが思い描く天国と地獄が混ざり合い

巨大な世界に色を足していく。



言葉よりも心に響く、遠くに伝わる方法で
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ