高家の戦闘員

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キンキンと金属音のぶつかる音、体が揺れる。

「ん……」
「おっ、目覚めたかい?」
「イゾウさん!?」
「ごめんね、こんな持ち方で」

その声に槍花はサッチに抱えられている状態に気が付き顔を真っ赤にする。

「下ろして!重たいから!」
「いやいや、もうちょい重くなった方がいいよ」
「セクハラオヤジ」

槍花は下ろしてもらい状態を確認する。
再び男達が迫っていた。

「その女を渡せ」
「なに言ってんだか」
「んなことできるかってんだよ」
「ふぅ、始めっからこうすりゃよかった」

槍花はスカートを持ち上げてしゃがみこむと一瞬で男達を通過した。
その両手には短刀が。

「安心して、峰打ちにとどめてあげたから」

そのまま振り返るとニコッと笑う。

「びっくりした?」
「なにあの可愛い生物!」
「そんなところに隠してたのかい」
「まぁね」

そのまま短刀を持つと走り出す。
槍花のあとを追っかけるようにイゾウとサッチは走る。が、ふとイゾウが槍花の口を抑え路地に隠れた。

「んごご?」
「しー、静かに」

身長的にすっぽり収まった槍花はじっとする。
ふと目線を上にすればなにかあかりが反射するものが塔の上にある。その瞬間頬をなにかが通過した。
生ぬるいなにかが頬を流れる。

「狙撃!?」
「槍花!」
「大丈夫!あっち屋根がある!」

槍花はイゾウに抱えられてその場を遠ざかる。そのあとを白い服の海軍が追ってきた。

「海軍?」
「げっ!さっきのでバレた!」
「やってくれるねぇ」
「イゾウさん、抱えてくれる?」
「また使うの?大丈夫?」
「大丈夫!ただ力が抜けるだけ」
「かまわないよ」

槍花は目を閉じる。できるだけ広範囲を意識する。

「メモリーズ・イリュージョン」

そこからの意識は途絶えた。
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