高家の戦闘員

□18
5ページ/5ページ



「酷い目にあった…」

蜘蛛の巣やホコリだらけで甲板に出てきた槍花。
暗闇から出てきたため晴れた冬の眩しい太陽の光に目を細める。

「ベックマン様!!」

目が慣れてきた所に映ったのは、ベックマンに抱きつくポニーテールの幼い感じとは裏腹にメリハリのある女性だった。

「槍花、お前埃まみれだぞ?」

背後から出てきたシャンクスに頭に乗っていた蜘蛛の巣を取ってもらう。

「シャンクスさん、書庫を壊しちゃったんだけど」
「だから埃まみれなのか、蜘蛛の巣まで引っ掛けて。怪我はないのか?」
「大丈夫」

槍花はそう言うと船内に再び戻っていく。とりあえず自分の中に込み上げた気持ちも埃まみれの体も洗い流すために。

「大丈夫、じゃないな」

ふと腕を引き止められ振り返ると、ベックマンがいた。
少し不機嫌そうな顔で

「大丈夫だよ」

ため息だけ大きくつくと抱き抱えられ船内に戻る。シャンクスはニヤニヤしていて、さっき幸せそうに抱きついていた女の子は頬を膨らませていた。

「1人で歩ける」
「自分のことは大事にしろ」
「なんの話?」
「腕と太ももから血が出てる。右脇腹が腫れてる」

自分でも気がついてなかった事実にびっくりして見ると確かに太ももと腕から血が滲んでいていて、服を捲りあげれば変な色をしていた。

「気がついてなかったのか?」
「全く」
「自分のことに関してはほんとに無頓着だな」

再びため息を大きくつく。医務室にたどり着きベックマンと別れた槍花は入ってすぐクロウにめちゃくちゃ怒られた。とりあえず備えつけのシャワーに突っ込まれる。

「派手にやりやがって」

服を脱ぎ下着になっていた槍花の腕と足を治療した後、一番重症である脇腹の治療。

「槍花、お前今度は何したんだ?」
「本棚のボルトが腐食してて危ないなーって見てたら船が大きく揺れて降ってきた」
「…そらそうなるな」

治療を終えると「しばらく安静にしてろよ」と言われ渋々頷いた。
次の島はとてつもなく大規模な本屋のある有名な島だったのに、安静ということは大人しくしていろということ。
留守番組にノミネートされてしまったのだ。

部屋に戻りとりあえず医務室から借りた大きな服を脱ぐと別の服に着替える。
爽華はシャンクスの部屋と一緒になってしまったため、一人部屋と化したその部屋はまるで生活感が無くなっていた。
次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ