高家の戦闘員

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カチャカチャと音が聞こえ、つんっと消毒液の匂いがする。
槍花はゆっくり目を開ける。

「おっ、目が覚めたか?じゃじゃ馬」

その声にふと横を向けば船医とめちゃくちゃ不機嫌なベックマン。
その顔に青ざめて窓からするりと抜け出す。
そこからはダッシュで船内を駆け巡る。あかりの方へ出るとそのは甲板でシャンクスがマルコを勧誘していた。

「なぁ、仲間になれって」
「いい加減に……槍花、もう大丈夫なのかい?」
「だだだ大丈夫じゃない!」

槍花はシャンクスの後に隠れる。
と同時にどす黒い空気が甲板に現れる。それがベックマンで、その視線がシャンクスを捉える。

「ひっ!!なんで俺が睨まれなきゃなんねぇんだ!?槍花!俺はまだ死にたくねぇ!勝手に話してこい!」
「ちょっと船長でしょ!!匿ってよ!」
「ありゃ無理だ!」
「骨は拾ってあげるから!」
「ふざけんな!お前が怒られてこい!第一勝手な行動したお前が原因なんだからよ!」
「船長なのに仲間を見捨てるの!?」
「俺は明らかなとばっちりになるだろうが!!」

あぁだこうだと押し出しあいになる中、ずんずんと近づいてくるベックマンに二人はひっ!っと声を上げる。

「マルコ様」
「うわっ!」

とつぜんの声にびっくりして振り向けばシャンクスのフード付きの服を着た爽華が立っていた。

「なんだ、もうからだはいいのかよい?」
「あれってなんでしょう?」

爽華が陸を指さす先にはバズーカを構えた男と、それ以外にも銃や刀を構えた男たちが気の陰に隠れていた。

「ありゃ、槍花を狙ってるやつらだねぃ」

やれやれと言うとマルコを爽華は笑顔で止める。

「私がやります。やられっぱなしはしょうに合いませんから」

そう言うと刀を鞘から抜く。その音にシャンクスたちは爽華の方を見る。
爽華の目の瞳孔は開いていた。まるで猫の目のように。

「爽華?」
「槍花、約束破ります。
シャンクス様


嫌いにならないでくださいませ」

それだけ言い残すと船から一瞬で姿を消す。最初に動いたのはシャンクスで名前を呼びながら爽華が消えた所へ走る。

「爽華!!」

爽華は血しぶきをあげながら舞うように男たちを斬っていく。
無表情ながらでも綺麗で。
誰もがその姿に目を止める。

返り血を一滴も浴びず爽華は刀を振って血を飛ばす。
戻ってきた爽華に槍花はその場から動くことなく目を合わせる。

「後悔はしてない?」
「えぇ、やられたら100倍返しです。私たちは海賊ですもの」

いつもの爽華の優しい笑顔に船員たちは爽華の頭をぐしゃぐしゃとしていく。

「とりあえず、出航するか」
「えぇ、そうしましょう」

一行は島をあとにした。

「槍花、お前は俺と話があるからな」
「……マルコさん、助けて」
「骨は拾ってやるよい」
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