砂粒みたいなストーリー (PETITS FOURS)

□溺れる魚は、不実を愛する VOl1
1ページ/7ページ

まるで、彼との関係は、水中を、
纏うようだ・・

橘が、自分を、愛してるとは、
秀史郎には、到底、思えない
勿論、友情みたいな好感を、
彼には出会った頃から
持ち続けてはいるけれど
それでも、あまりに、不可避な、
流れに導かれて、あっという間に、
繋がり快楽を静かに、激しく交感する

彼とは、オカシな関係だとつくづく思う
橘は、公彦の、幼馴染とは言えなくは
ないが、今でも、親しい訳ではなかった
今でも、友人というより、知り合いだ
公彦は、橘に、あまり関心がない
が、橘は、公彦の本質を、
同じ小学校時代にもう、暴き認識していた・・

橘薫は、秀史郎とは、同じ大学の医学部の
同級生でもあるが、
勿論、公彦の幼馴染とは、こちらも、知らなかったし、
公彦と、自分との関係も、
橘は、知る由もなかった
それでも、彼は、何かと、秀史郎に
入学当初から、色々と面倒を見てくれる事が、
不思議に多かった

低空飛行で学業を進めている
秀史郎とは、違い
彼は、ずっと優秀な成績を収めていた
しかも、細身で背が高く、
知的な雰囲気を持つ、イケメンで、
相当、女性に人気があった
性格は温和で、思いやりが深い
思慮深さを、持つが、静かな暗さを感じさせた

公彦に、どこか似た雰囲気が在るが、
公彦のように、傲慢で、自信過剰な種類の
冷酷さは、彼には全くなかった
秀史郎には公彦とは、どこか、似ているが、
対極に、位置してる様に思われた

不思議だが、彼と肉体関係を、幾度も持ち
愛していると、橘に囁かれても
彼を、愛する事は、ないだろうと
秀史郎は、理解していた

そして、幾ら熱に浮かれた言葉で
囁かれて、くれても、
それが、橘の恋愛感情からでは、無く
憐みや同情に等しい感情だと、判っていた
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ