砂粒みたいなストーリー (PETITS FOURS)

□ヴァニラエッセンスで、お願い  (ファーストクリスマス)
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ホテルの部屋は、グレーと、ゴールドの落ち着いたトーンにまとめられている。
珍しい色調なのが、公彦がこの部屋を選んだ理由だった
ラグジュアリーなのに、冷たさが感じられるからだ
薄暗い照明の中、二人並んで、次の寝室に入っていく。

ベットのグレーのサテンシーツの上にはきちんと並べられた、金属のおぞましい器具が鈍く光る。

それらを、凝視した、シュウの顔が、明らかにひきつっているのが、解る
今から、素晴らしい愛の時間をシュウと過ごすのが、僕は何よりも嬉しいが、
シュウにとっては、悪夢なのかもしれない


鈍く光る金属性の棒状の真ん中部分が、丸く穴が開いている部分を、シュウは、長く細い指が示した
「首枷?」
不安げな声は、少し位震えているそして、、僕は、黒い皮ベルトを、手に取ると、シュウの頬をひと撫でする
シュウの困惑し複雑な表情・・・。


「シュウここに座ってくれる」

腕をとり、ベットの上に彼を、挙げる
ベットがギュッと軋む
僕の正面に来るように正座させるとシュウは虚ろな瞳で、素直に従った、
僕は優しく、金属性の首枷を彼にあてがい
嵌め始める
嫌な金属音が軋む、綺麗な首筋画、金属で覆われる・・
気味悪いぐらい、おとなしく従うシュウ・・・

この器具は、首と両手首を一本の金属棒で拘束する構造になっている
シュウの、左手首を、固定する
沈黙したままの、シュウ・・
次に、左手首に移る・・その時・・


僕を見つめていたシュウの瞳から、涙が、こぼれ、頬を伝う

僕は、無視したまま、作業を続ける。

無垢な、液体の宝石が、ベットシーツに、シミ
を創る

金属の擦れる音だけが、不愉快にしている。
「・・きっ公彦・・・恋人同士の、初めてのクリスマスイブには、ひっ・・酷過ぎない・・」

両手デ、シュウの顔を、挟み込み、自分の、顔に近づける
シュウの瞳に無慈悲な表情の僕が、写る

「公彦・・・お願い今夜はこんなの、辞めて
初めてのクリスマスイブに、お願い・・・」

シュウは、涙目で、憐憫続ける

バシッ

シュウの右頬を、力任せに、引っ叩く

「痛い!公彦・・酷い・・」

シュウは、小さく叫び、眉をひそめて、僕を見つめる、そのまま頬を涙で濡らし続ける

クリスマスイブだからこそ、今夜は特別な夜にしたいんだと僕は思うが・・シュウは・・・?

「次は、受け入れるから今夜はお願い・・」

「普通に愛して・・・お願い」

もう一度
ビシっ
頬を、引っ叩く

暫く、シュウとお互いの、愛を確認するように瞳を合わせ見つめ合う、
シュウの瞳は艶やかに濡れて、ますます綺麗だと思う・・
必死で、僕に、憐憫するその姿が、無垢で愛しい・・・、
そっとシュウの首に触れようとすると
また、ぶたれると思ったのか、シュウの身体が硬直する
僕は、静かに優しく首筋と、頬を、指先で、撫で廻す

「約束するから公彦の好きなようにしていいから、今夜だけは、酷いことしないで・・」

僕は怒った振りをして部屋を、出ていこうとすると、
ガチャガチャ、
首枷の音を立て、シュウが僕の名前を、泣きながら何度も呼び続けたが、
僕は、シュウの声を無視して、寝室を出ていった




どれぐらいか時間が過ぎた・・
泣き崩れて、ベットに、伏せている、シュウを、抱き起してやる
そしてゆっくりと首枷を、外してやった
首枷の金属との摩擦のよる、首筋に自身が創った、擦り傷が、何個もできていて痛々しい

解き放たれたシュウは激しく僕に接吻してきた。
僕の口を舌でねじ開けてくる、シュウの舌が情熱を込めて、絡あってくる
二人の、唾液が甘く混じ合う・・恋人らしい
行為に、シュウと共に溺れていく

シュウは、鼻をぐずぐずしながら、彼特有の甘えたファルセットヴォイスで、喘ぎ声をたてはじめる

「明日の夜は、許してやらないよ、僕の思うままにするから・・、」

そう囁くとシュウは微笑み、大きく、頷くと、僕に身体と心のすべてを委ねる

今夜はヴァニラなクリスマスイブに、なる・・

まあ・・一日、楽しみが、伸びるが、僕にとっては、構わない

どうせ、明日になれば、味わえるだろうし、

いや、クリスマスは、ヴァニラなままで
甘く・・・愛し過ごせばいい・・のだ、
それも、僕は好みだ・・・・



それに、今夜、僕の被虐性欲を、拒否したのを、シュウに後悔させてやればいい
、お楽しみは、これからも続くから・・

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