流れる銀のストーリー (MAIN) VOL1


□君は、僕の罠に堕ちて、愛のように輝く VOL.3
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都心の一等地のにある、超高層ビルに
その弁護士事務所はあった。

公彦は、その事務所の個室に
通されたまま、1時間が過ぎようと、していた

中年の、知的な女性事務員が
もう20分ほど、担当弁護士が、
遅れる旨を伝えにくる。

公彦は、仕方なく、彼女が、持ってきた、
2杯目の熱い紅茶に口を付けた。

さあ、どうしたものか・・?

公彦は、窓から、どんより曇った空を
見詰め考え込む。
取り敢えず法的な手続きを取りながら、相手の出方を、見るしかないと、判断した。
こんな時は、専門家に依頼するのが、
一番いい、案だ。

秀史郎は、中心人物の片桐を、全身刺青が、あるので、ヤクザ系だというが、
公彦には、もし、昨日のあの男なら、
一概にそうとも、思えなかった。
もっと、一筋縄では、いかない・・

突然、ドアが、開き、
初老の男性と、20代後半の若い男性が、
慌てて、部屋に入ってくる。

「お待たせしてしまいました、若宮です。
公彦様ですね・・どうも、すいません
交通渋滞に巻き込まれてしまいまして

これは、また、随分と、
立派に成長されましたね」

初老の男は、嬉しそうに、公彦に挨拶する、が
すまなそうに、

「ところで、公彦様、私、数件の、大きい仕事を抱えておりまして、この件をお受けする
時間が、ございません
それで、彼に任せようと思っております」

若宮弁護士は、若手を、公彦に、紹介してくれるらしい

「公彦様と、同じ大学を卒業してますから、
大変有能な、弁護士です。しっかり任せられますよ」

紹介された、若い弁護士は、少々気持ちが
舞い上がったまま、
公彦に深々と、頭を下げ、
名刺を恭しく差し出す。

「高橋晴喜と、申します、よろしくお願いします」

「いえ、こちらこそ・・」

名刺を、両手で、公彦は受け取った
学生の公彦には、名刺がなかった。
さっきの事務員が、ドアを半分開けて、
若宮弁護士を、すまなそうに、呼ぶ。

「すみません、先生、榊の彬彦様から
再度、お電話です」

「それでは、私は、急ぎがありますので。・・彼に任します・・」
と慌てて、言い残し、若宮弁護士は、部屋を去った。
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