妄想小咄

□Love take it all
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【石田亜佑美side】

くどぅーの言葉が耳にこびりついて離れない。
鞘師さんに気を付ける?なにを気を付けたらいいんだろう?

「あゆみちゃん。先お風呂入っていい?」

「あっ、はい、どうぞ」

ほんとに何が危ないのかなあ?鞘師さんはいい人だし騒がしくないし。

考え事をしながら今日のブログを更新していると鞘師さんが出てきた。
お風呂上がりの鞘師さんは少し頬が紅潮していてなんだか色っぽかった。

「あゆみちゃんも疲れてるでしょ?早く入っておいで」

「はい、じゃあ…」

お風呂に入ってもうちの考え事は続いていた。

「あゆみちゃん?着替えこっちに全部置きっぱなしだけど大丈夫?」

「えっ?!あああっ」

鞘師さんの声で我に返る。
考え事に集中しすぎてすっかり忘れてた…

「私がお風呂まで持っていくかバスタオルで出てくるかどっちがいい?」

クスクスッとドア一枚挟んだところで鞘師さんが問いかける
いやいやいやいやどっちもどうなのよ!

「じ、自分で取りに行きますから!」

「そう?じゃあ置いておくね」

そう言って鞘師さんはベッドに戻ったのだろうか、足音が遠退いた。

仕方なくバスタオルを身体に巻いてお風呂を出
たうちは服を探した。
…あれ?どこだろう
きょろきょろと辺りを見渡していると鞘師さんが声をかけてきた

「どうかした?」

「いや、あの、うちの服って」

「それならこっちだよ?」

楽しそうに笑いながら答える鞘師さん。
いやいやこっちだよって。うちバスタオル一枚なんですが!!
一人でツッコミながらうちは鞘師さんがいるベッドの方に向かった。

服は、あった。でも…
その場所は鞘師さんのいるベッドの上だった。
なんであんなところに?

「どうしたの?あゆみちゃん。服着ないの?」

鞘師さんは楽しそうにしている。けども!おかしい。この状況はおかしくない?
なんもないとは思うけど…

「き、着ますよ…」

うちは鞘師さんのいるベッドに向かった。
そして服を取っ……?!
取れなかった。その前に鞘師さんに腕を取られてバランスを崩し、うちは鞘師さんに抱き締められて寝転がる形になった。

「さ、鞘師さん?」

「んー?」

「これは一体?」

「なんとなく。あゆみちゃんが可愛かったからつい」

「つ、ついじゃないですから!離して下さい!」

「んー、やだ。」

「離し、っ?!」

「あゆみちゃんちょっと黙って。」

鞘師さ
んってこんなに力強かったっけ?
うちは一瞬のうちに鞘師さんに押し倒されたような体勢になり、両手首を掴まれベッドに押し付けられていた。

「さ、鞘師さん…なにしてるんですか」

「何、かあ。うーん。なんだと思う?」

「分かんないから聞いてるんです!退いてください!」

「やだ。」

「退い、っん?!」

鞘師さんは黙らないうちを黙らせるかのようにキスをしてきた。最初は優しく、だんだん情熱的に。
うちは吃驚して抵抗も出来なかった。何が起こったのか把握をするのに時間がかかった。

「あゆみちゃんの唇、ほんとに可愛い」

「な、にしてるんですか…」

うちは弱々しい声しか出せなかった。

「なにって…キス?」

そう言いながら器用にバスタオルを捲る鞘師さん。
バスタオルを捲るために片手になったとは言え、両手首を押さえ付けられて、その上状況を把握出来てないうちは何も抵抗出来なかった。

「んっ、あ、やだ…っ、く、どぅー…っ」

鞘師さんの指がうちの身体を這う。違う。うちが求めている指は、欲しいものはこれじゃない。

「やだやだばっかり。くどぅーばっかり。あゆみちゃん。私を見てよ…」

一瞬苦しそうな表情をした鞘師さんは指を舐めてうちの秘部に触れた。

「やっ!!それ、は…っ」

「あゆみちゃんうるさい」

さっきより心なしか冷たい声で喋りながらその指は一気にうちの中へと入ってきた

「ッ…!は…ぁ、っ」

くどぅーよりも乱暴に動かされる指。
嫌だ、痛い、誰か助けてーーー

ドンドン!!

その瞬間部屋のドアがノックされた

鞘師さんは無視するつもりだったみたいだけど、鳴りやまないノック音に苛々したのか、うちから離れてドアを開けに行った。

「鞘師さーん、なんで開けてくれなかったんですかー」

「あーごめんごめん、忙しくて。で、なんか用事?」

「どぅーが元気なくて構ってくれないんですー。最終的に鞘師さんにでも構ってもらえば?ってー」

「くどぅーが、ねぇ」

くどぅーがまーちゃんを寄越してくれたんだ!
ありがとう、くどぅー
ふたりのやり取りを聞きながらうちは今出せるだけの力を振り絞って服を着た。

「でもね優樹ちゃん、私もあゆみちゃんももう寝るから。ごめんね?」

「うーん、そっかあ。じゃあ諦めて帰るねー。おやすみなさーい」

「うん、おやすみ」

バタンとドアの閉まる音がした。

「あーあ、あゆみちゃん服着ちゃった」
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