7th heaven *book

□Booy Meets Angel
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 家中の電気を消した、今は午前2時。ひどく明るい月明かりだけが部屋を照らしている。俺は一日の仕事を終え、まさにベットへ向かおうとしていた。そのとき、インターホンが鳴った。テレビも音楽も付いていない一人暮らしの部屋にその音は大きく響いた。まるで、一人きりの夜を誇張するかのように。
(こんな時間にだれだよ…)
そう思いながらもドアを開けた。
「りょーすけっ!!こんばんは〜」
ドアを開けると知念がいた。知念は白いシャツにジーンズというラフな格好で、ニコニコと笑みをたたえている。ひどく上機嫌だ。酔っているらしい。
「知念、どうしたの?こんな時間に。」
「どうしたもこうしたもないよ。ただ、りょーすけに会いに来ただけ〜」
時間を考えない行動に図々しさと多少の苛つきを覚えながらも、目の前のめずらしく酔った様子の知念が妙に愛おしく思われて、手を引いてリビングに連れて行く。
「ここに座ってて、水持ってくるから。」
できるだけ優しい甘やかすような声で言った。

 水の入ったグラスを手にリビングに戻ると、知念がいなくなっていた。見渡すと、ベランダの窓が開いており、カーテンがひらひらと揺らいでいた。
「ち〜ねん〜!!座ってろって言っただろ?」
 窓へ向かい、ベランダの前に立つ。知念が俺に気付き、振り向いた。さらりと流れた黒髪や月に照らされた白い肌が妙に艶めかしかったが、どことなくまるで人ではない何かのようにも思えた。風が吹き、知念の白いシャツがふわりと膨らむ。天使だ、天使の羽だ、そう思った。こいつは実は天使で、白い羽が生えていると今言われたとしても俺は信じるに違いない。
 そのまま見惚れていた俺に知念は可愛らしく微笑んで、そしてボタリと大きな涙を流した。唐突のことで何がなんだかわからなかった。でも、このままにしておいたら知念は飛び去ってしまうのではないかと思った。
 思わずその細い手首を引いた。そして腕に閉じ込める。
「ちねん、どうかしたの?」
聞いても何も答えない。黒い頭を何度も何度も横に振る。子供みたいだ。
「お願いだから、話して?ちねんが辛そうだと俺も辛いから。」
そう言うとジッと俺の瞳を見つめてきた。そして眉根を寄せ、ようやく赤い唇が動いだ。
「…ボクはね、りょーすけのことが好きなの」
いきなりの告白になんと返したらいいのかわからない。俺の開きかけた口は、答えが見つからず、また閉じてしまった。
「…だから言いたくなかったの。ホントは会いたくもなかったの。好きだって、言いたくなっちゃうから…。でも、寂しくて寂しくてどうしても会いたくなったから…」
ぼそぼそと呟いたあとで後悔したみたいに俯いて、グズグズと鼻を啜った。
「ちねん、顔上げて?」
俺は知念にそっと囁いた。おずおずと知念は顔を上げた。涙に濡れた目で上目遣い。あぁ、恐ろしいほどに可愛い。そして、こんなにも愛おしい。
「もう泣かないで?」
さらにぎゅっと抱きしめて、開きかけた知念の口を優しく塞ぐ。そして口を離して、他でもない君が一等に好きな俺の声で告げる。

「俺もちねんのことが好きだよ。」

その言葉に目の前の天使はまた涙を流す。大好きだよ、世界の誰よりも。君がもし、その羽で飛び去ってしまおうとするなら、俺はその羽を迷いもなく千切ってしまうだろう。

おわり

中途半端なおわりですみません。゚(゚^o^゚)゚。この二人はこの後ただのバカップルになります←ウフ

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