そんなよくある話です。

□第2話
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そんな一悶着もあったが無事に希望の仕事をもぎ取った俺は書類片手に校内を回っていた。無駄に広いからなこの学園。各委員会に届けるのも一苦労だ。

「図書も行ったし、美化も行った。体育も放送も行ったから後は保健と風紀だけか」

彼方此方へ行って残るは2つの委員会。ここから近い保健の方へ行くか。

未だに構内地図を見ないと辿り着けない教室もあるが保健室の場所なら把握している。俺は早速保健室に向かうべく身を翻した。



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ドアをノックしてから中に声をかける。

「生徒会だ、新歓についての書類を届けに来た」
「どうぞ……」

返ってきた返事は野太い男のものではなく、柔らかく儚げな声。それは生徒ではなく養護教諭の声だった。

「失礼する……ってあれ?お市先生だけ?」
「えぇ、…皆、用事があって出てるから……」

浅井市先生。この学園では珍しい女性の教師である。憂いを帯びた表情が儚げなかなりの美人さんだ。そんな超美人先生は勿論、既婚者で旦那さんは警察らしい。

生徒からの人気もあって本気で惚れている生徒も少なくないらしい。そうなると襲おうとする生徒が出てくる危険性があるのだが、そこら辺は、襲おうとしても原理が全く分からない地面から出てきた黒い手に返り討ちにあう。どんなガチムチ野郎でも。ので、心配ない。

まぁ、だからこの学園でやっていける訳だ。ちなみに俺の本性(?)を知る数少ない人物である。つまり気の置けない相手なのだ。

「うーん、出直そうかな…」
「市が預かって……渡して、おこうか…?」
「いいの?じゃあお願いしていい?」
「うん…渡しておくわ」
「お願いしまーす」

保健委員が不在という思わぬ事態があったがお市先生のおかげで何とか保健委員会もクリア。残すは風紀委員会のみだ。

しかしここが俺にとって色々な意味での一番の難関だったりする。気分はさながらラスボスに向かう勇者だ。頑張れ、俺。
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