そんなよくある話です。
□第3話
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ここで先程徳川との引き合いにも出した癖に何故風紀委員会が俺にとって難関なのか説明しておく必要があるだろう。
簡潔に言おう。あそこの参謀超怖い。いや、マジで。だって平風紀委員を捨て駒とか言っちゃうんだぜ?あの人の眼差し絶対零度だぜ?あの人に会うたびに俺は内心ガクブルなんだよ。
今までの経験からしてあの人がいる確率は五分五分だ。だから余計怖い。
風紀委員会には幼馴染みもいるんだけど、何故かあの人がいる時はいない。何でだよ。俺の心の拠り所が…。
あぁ、ついでにいえばあの時徳川が食い下がったのは、勿論俺みたいに話し合いに参加したくないからなんて理由ではない。むしろ奴は社交的だ。社交的過ぎる程社交的だ。では、何故徳川は書類を届けるなんて面倒な仕事をしたかったのか。
俺は知っている、風紀委員会に徳川の好きな奴がいることを。大方、好きな奴に会いに行く口実が欲しかったんだろう。まぁ、相手には嫌われてるんだけどね。ドンマイ。
なんて現実逃避をしているとあっという間に俺は風紀室の前まで来ていて……。畜生、現実逃避じゃなくて心の準備をしておくんだった!
扉の前で一旦大きく深呼吸をしてからノックする。扉の前でうろうろしてると気配を察知されるからな。風紀委員会怖ぇ。
心臓がバクバクで声が震えないか心配だ。……いや、大丈夫。お前なら出来るぞ鈴斗!
「生徒会だ、新歓についての書類を届けに来た」
「入れ」
中から聞こえてきたのは幼馴染みの声。お、これは参謀いないんじゃね?
とか、思った俺が馬鹿でした。扉を開けると、なんということでしょう。風紀委員の幹部が勢揃いじゃありませんか。……マジでか。
「……帰っていい?」
「せめて書類を置いていけ」
「デスヨネー」
おっふ、何か色々一周して素が出ちまったぜ。そしていつもと違う俺に周りが驚いている中、冷静に返す幼馴染み。歪みねぇw
「はい、じゃあこれ新歓の書類ね」
「あぁ、確かに」
「後ついでに風紀へ提出の書類も」
「仕事だけは早いな」
「えへへ、そうかな…って、なんで"だけは"を強調した」
開き直った俺はもう素で接する。ってか、幹部全員揃ってるっていう予想外の展開にキャパオーバーで人見知り発動してる暇なかった。うん、ごめん、自分でも何言ってるかよく分かんないわ。