そんなよくある話です。

□第2話
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新学期が始まって一ヶ月。つまり新しい役員になって一ヶ月が過ぎた。俺も生徒会の奴らには大分慣れ……るはずもなくみんなわいわいやっている中俺は黙々と仕事をこなす。

正直に言おう。超帰りてぇ。知り合い以上友人未満な奴らの中に一人って辛い。いや、人見知り拗らせすぎてまずいのは分かってるけど辛い。王道だからといって特に萌えることもない。辛い。

「後はこの書類を各委員会に渡して新歓の予算をまとめれば今日の仕事は終わりか?」
「Ah...それと新歓の内容に少し見直す点がある」
「お、後もう一息だね」
「………」

おぉ、どうやら仕事の終わりのメドがたったようだ。実は俺さっきから仕事終わって暇だったんだよね。生徒会は意外と個人の仕事だから終わったら帰ってもいいんだろうが、さっさと仕事終わらせて先に一人帰るって俺嫌なやつじゃん。

ちなみに新歓とは新入生歓迎会の略であり、一年間で入学式に続く初めの行事だ。新入生にこの学園に慣れてもらうためにもちょっとしたレクリエーションをやる。

生徒会を元とした委員会はそれに向けて準備を行っている。各委員会に渡さなくてはならない書類というのもそれについてだ。

さて、俺はここで考える。予算のまとめは会計がやるとして、新歓の内容の見直しとなれば自ずと話し合いが発生する。勿論、役員である俺もそれに参加しなくてはいけなくなる。しかし、只でさえコミュ障で録に会話もできない俺が話し合いなど出来るだろうか?いや、出来ない。(反語)

そんな話し合いから逃れる方法というのが各委員会に書類を届けに行くという最初に出た仕事だ。これなら委員長との会話は発生するが、幸い委員長の殆どは顔見知りというか友人で生徒会の奴らよりはよっぽど普通に話せる。

ここで一つ弁明しておきたいのは別に俺は生徒会の奴らを嫌っている訳ではない。ただ俺は人見知りの癖に…いや、だからか懐く相手はかなり選ぶタイプである。つまり何が言いたいって俺様や腹黒とかちょっと…って感じだし、イケイケ系は無理だ。俺ら腐男子とは相容れない(偏見)。あと書記さんは怖い。威圧感半端ない。

話がかなり逸れたな。戻そう。だからあれだ、とにかく俺は書類を届けるという名目でこの空間から逃げたいんだ。さぁ、頑張れ俺。言うんだ。ここでチキってたら話し合い参加ルートだぞ。

「……各委員会への書類は俺が持っていこう」
「いや、これもワシの仕事の一つだ、ワシがいこう」

俺の勇気を出した申し出をばっさり斬る副会長徳川。何でだよ。ていうかそれ別にお前の仕事でもねぇだろ。大人しく任せとけよ。ここで引き下がる俺ではない。

「風紀に届ける書類もある…ついでだ」
「だが、渡すのは風紀だけじゃないぞ?」
「仕事も一段落しているし、問題無い」
「…そうか、なら頼んだ」

徳川が何か言いたそうにしていたが知ったことではない。そう、俺は自由を手に入れたのだ。ちなみに風紀への書類は嘘ではない。まぁ別に今日届ける必要は全くないけどな。
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