野良神×排球
□第2章
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萌々佳side
「萌々佳さーーーーん!!」
何やらドタドタと廊下を走る音がする。ピタッと足音が止まったと思うと、スパーンと勢いよく部屋の障子が開いた。
「うあ!?どうしたの、風架?」
「萌々佳さん、妖です!」
それを聞き引き締まる。
「すぐ行くよ。暁、月夜」
二人もすぐに現れ、私達は風架が察知した妖がいる場に瞬間移動で向かうのだった。
「ここか‥‥‥‥」
私が降りた場所は坂下商店と書かれている店の近くだ。周りに妖の姿は見えない。
「なんで‥‥」
風架の分析が外れる訳がない。なのに気配が消えてる‥‥?
仕方なく戻ろうとしていた時、
「あれ、姉さん?」
「夕!」
声のした方を見ると、部活帰りだろうか夕が立っていた。
「こんな所でどうしたんっスか?」
「それが‥‥あっちで話そうか」
ここでは邪魔になるかもしれないと思い、近くにある公園に向かった。
「じゃあ、妖が消えたって事っスか?」
「そういう事になるね」
一通り夕に話した。夕や龍も妖がたまに見えるという特別体質なのだ。だから、私や暁達も忘れず見えるんだよね。烏野には多いな、そういう人。
「すみません、私がきちんと分析していれば‥‥」
「風架のせいじゃないから気にしなくていいよ」
「しかし、なんだったのでしょうね。あの気配は‥‥」
「不思議‥‥‥‥」
暁と月夜も不思議に思っているようだ。そんな三人も気になるが、今気になる事は、
「それにしても、夕。なんか、顔赤くない?」
「そ、そんな事ないっスよ!!」
「そう?」
何やら隣に座る夕の顔が微かに赤くなっているように見える。
「ね、姉さんはいつも家だとその格好なんスか?」
その格好というのは、この巫女のような袴の事だろう。
「そうだよ。基本、神社だとこの格好かな。一応、おみくじとかお守りとか売ってるしね」
出かける時は動きやすいようにこのような格好で外に出ないが、今日は緊急だったため着替えないで出てきてしまったのだ。
「そ、そうなんスか‥‥」
「そんなに似合ってない?」
夕と問うと
「そ、そんな事ないっスよ!!すごい、似合ってます!ますます、す‥‥」
「ますます、何?」
「な、なんでもないっスよ!とにかく、似合ってますよ」
「そう、なら良かった」
夕が何を言おうとしたのか分からないが、まあいいだろう。
しばらく、夕からバレーの話を聞いていた時だった。
「これは‥‥!」
私は立ち上がり、周りに神経を張り巡らせる。
「どうしたんっスか、姉さん?」
急に立った私に驚く夕だが、
「夕。今すぐ帰りなさい」
「え?なんで‥‥」
「今日は時化が酷い‥‥。とにかく、今日はあまり家から出ない方がいい」
その時だった。
「萌々佳さん!」
私と同じ妙な気配に気づいた風架が血相を変えて私を呼んだ。
「萌々佳さん!先程と同じ妖が違う場所に現れました!」
その言葉を聞き、
「またね、夕」
夕に別れを告げ、向かうのだった。
「どこだ‥‥!」
風架が察知した場に移動すると巨大な蜘蛛の姿をした妖が10匹程いた。
「こんなに‥‥!」
暁もさすがに驚いている。
「仕方ない‥‥」
私がみんなを名を呼ぼうとした時だった。
「あれ?なんで、あんたがこんな所にいるんですか?」
そこの場に現れた人物とは‥‥。