野良神×排球

□第1章
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陽菜side


「ご飯だよー」


そう庭に出ている皆に言うとドタドタと走って神社の端にある、小さな家に走ってくる。
参道の向きには御守りがたくさん並び、受ける日が割りとたくさんある為、絵馬と一緒に並びとても綺麗に彩られていた。


御守りは買うではなく受けると言うため妨害な値段では並べていません。


お昼時になると近所の野良猫やらが紙緑についてきて一緒にご飯を食べるのが日課になっていた。
今日もそれは変わらずニャーニャー騒ぐ猫に神様の迷惑だぞーと言いつつご飯をあげる。



「また私のおかずとったー!」


「紙緑、それは違う。世界の食べ物は全て私の物だから、食べていいの。」


「うあ、また!」



喧嘩して食べると溢すぞーと中で仲良く?食べる二人に向けて言うとはーい、といい返事が聞こえて、どうして私はお母さん見たいに働いてるんだとため息をつきたくなる。
前に霊緑にも言われたから、ちょっと気にしてるんだよね。


5月の上旬は老人が御参りやボランティア等で掃除をしに来てくれることが多い他、たまに子供が暇潰しに来る程度で参拝者はわりかし少ないような気がする。

夏や部活の大会が近いと神社をよく知らない中学生や高校生が恋愛等の神社なのに拝みに来るから正しい御参りの方法を教えて御守りを受けさせて帰すのが1つの楽しみでもある。


夏はお祭りもやってくれるからね。



ここは私の社だけど近所の老夫婦が管理していると言うものもあり、慕われている夫婦はよく御祭りを開く。


御祭りと言っても、一般的な御祭りではなく、本来は神様にお供え物したり踊りを見せたりして楽しんでもらうものであり、巫女が舞を踊るのを見るのも私の夏の楽しみである。


そして、まあこの頃、よく二人来るんだよ、男の子が。



ドタドタと言う慌ただしい音と何時ものいがみ合う声が聞こえてまた来たと鳥居の方に体を向ける。



「参道の真ん中は神様の通り道だから歩いちゃいけません!!」



そう息を吸い込み言うと堂々と真ん中を走る二人はピタリと動きを止めた。



「何回言っても覚えないから勉強も出来ないんだよ。」


「それは陽菜さんが神様の話ばっかりするからじゃないですか!!」


「神様舐めんな!すごいんだからね!!」



「カミサマ〜お味噌汁わけてー。」



「自分でやりなさい。」



「バレーしても良いか?」



「神様前に神社でバレーは止めろ。」


「まだ自分神様とかい言ってんのか?」


「少しは信じようか。」



このひとたちが来ると騒がしくなる。
まあ、紙緑も1人でワーきゃーうるさいけど。
彼らが来るようになったのは1週間前からだ。
夕方来ることが多かったけど今日は部活が午前だけみっちりだけだったのか来るのが早かったみたいだ。


彼らはなんか言う、馬鹿?天然?単純?な人達らしくて私達を忘れにくいらしいのだ。
初めて来たのはバレーの練習やろうとかでガミガミ怒ったが今では勉強しに来たり、御参りに来たりと何かと騒がしい人達だ。


名前は日向翔陽と影山飛雄。
日向は私を年上と見ているらしいけど影山クンはどうやら自称神と言う私を見た目から同い年くらいと思ってるらしくタメ口だ。
神様なんですけどね。



「あ、もうすぐ合宿何ですよ!GW!最終日には練習試合もあるんです!」


「日向は楽しそうにバレーの事を話してくれるね。」


「はい!陽菜さんは何か楽しむ物とかあるんですか?」



「え、んーと……えーと……」



「早く勉強教えてくれ!バレーするから!!」


「するな。」




神様が楽しむのはそうだね、



人の成長だろうか。
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