野良神×排球

□第3章
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陽菜side

肩を揺すられて目が覚めた。

朝は物凄く弱いからいつも霊緑の拡声器で起きるんだけど今日はいつもより体は重い筈なのに目がぱっちりと覚めた。
視界には研磨君の金髪がチラチラと入りぼーと見つめていたらご飯作ったけど食べる?と聞かれた。

きょとんとして研磨君を見るとあんまりやらないから美味しくないかもだけどとそっぽを向いた。
頬っぺたが赤い事に気付いて少し笑いつつ食べるよ、と起き上がると体がぐらついた。


「やっぱりまだ辛いの?」


そっと研磨君が支えてくれて肩を貸してくれた。
何でこんなに優しいんだろう。


研磨君の助力もあってか階段を下りてリビングにつく頃にはふらつきは消えて顔洗ってくると洗面所に1人で行けたほどに戻っていた。


済ませてリビングに戻るとサンドイッチがお皿に乗っていて綺麗な形をしていてびっくりした。
研磨君料理出来たんだ……。
いや切って挟んだだけだよと突っ込まれて研磨君の作った料理をオレンジジュースと流し込み朝食を終えた。

片付けは後からやるからと部活の準備を始めた研磨君を他所に私は電話をかけていた。
その人物が出ると学校付近で会うことを約束し電話を切った。
2階から下りてきた研磨君に黒尾君が迎えにくるからさっさと出ないとうるさいからと一緒に外に出て数分してぎゃーぎゃー騒ぐ黒尾君と紙緑を見て笑みを洩らした。

霊緑に顔色悪いと指摘されたけど自分で歩けるからとその場でぴょんぴょん跳び跳ねると倒れたらどうするの?と頭を叩かれた。

暴力反対だ、と呟くと愛ある拳は元の拳より愛しいですよとか何とか意味わかんない事言い出すから考えていたら紙緑に手を引かれた。



「研磨が文句言わず部活来るなんて珍しいな。」


「別に。」


「分かったー!研磨さん陽菜好きなんでしょー!だから陽菜には優しいんだね」



語尾にハートでもつきそうな勢いで言う紙緑に迷惑かけないのと優しく頭を叩くとちゃっかり陽菜の隣歩いてるしね!と騒ぐから少し猫背で近付いてる顔を見てみるとまたふらついたらその子じゃ潰れちゃうからとスマホから目を離さず言った研磨君。


研磨君が朝私にしてくれたことを黒尾さんにそれとなく言うと研磨が人見知りしないだけでも珍しいのに肩貸すなんてなあ〜とニヤニヤしだしたからすかさず霊緑が研磨君に迷惑かけんな鶏冠ヘッドこらと睨み付ける。


皆研磨の味方かよ!と黒尾さんがショックを受けてる中研磨君が呟いた。



「もうすぐ、」



そのあとの言葉は紙緑の笑い声で聞こえなかったけど確かに言った。
もうすぐ、会えると。
誰に、のところが聞こえなかったから首を傾げて研磨君に聞こうとしたらスマホをぎゅうと力強く握っているから何だか聞きづらくなってしまった。


霊緑がそんな私を寂しそうに見ていたのも知らずに。
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