野良神×排球

□第1章
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萌々佳side

神は人間に特別な感情を持ってはいけない。














「今年も沢山の合格者が出たな〜」

そう呟きながら私は庭先に出た。
まだ、朝方と言う事もあり、辺りには霧が出ている。

庭を通り過ぎ、裏へと回ると綺麗に手入れされた花壇が並んでいる。その中にせっせと花をいじる、赤髪をツインテールにしている少女。

「今年も順調に咲きそう?」

声をかけると、その少女は手を止め、私の方に視線を向ける。

「萌々佳さん!おはようございます」

「おはよう、風架」

風架と呼ばれる少女は、小走りで私の元に駆け寄り、

「はい!今年は気候も暖かいので、綺麗に咲く思います」

「そう。楽しみにしてるからね」

「はい!!」

風架は笑顔でそう答えた。

フッと横に視線を向けると、桜の木が数本並んでいる。

「桜もそろそろ咲きますね」

私の視線に気づいたのか、風架は私の横に並び同じように桜の木を見上げる。

「そうだね。今年は皆で花見でもしようか」

「そうですね」

桜の木をしばらく眺めていると、

「ここにいらっしゃいましたか。萌々佳さん、風架」

声がした方に視線を向ける。

「おはよう、暁」

「おはようございます」

少し癖のある銀髪の青年が立っていた。

「朝食の用意が出来ました」

「ありがとう。すぐに行くね」

「はい」

暁と呼ばれる、青年は礼儀正しく礼をし、社の方に戻って行く。

「風架も行こう」

「はい!」

私と風架も社の方に戻るのだった。




秀桜麗魅神。
昔から学問や成功にご利益があるとされている神。それが私、萌々佳である。努力した者はその先の永遠(みらい)が輝くであろうと唱えている

この寺は烏野地区の外れにあり、周りは山々に囲まれ、毎年、春になると沢山の花々が咲きほこり、何本も立ち並ぶ桜が花開く。その事から一部の人間から桜華寺(おうかでら)とも呼ばれている。






神の福が訪れますように





私は社に向かう途中、今日を知らせる日に向けそっと呟くのだった。
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