野良神×排球
□プロローグと世界観
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私の社の神社では赤ちゃんが生まれたら男の子は32日め、女の子は33日めに祝い着を着せて赤ちゃんを神様に報告する初宮参りをよく見る。
それはこの子をこれからよろしくお願いしますって報告して、神様が認めたら元気に成長できるよう見守ってもらうため。
その日も、二人の夫婦と抱かれた女の子。
晴れ着を来た男の子がお父さんに腕を引かれて来ていた。
ちゃんと参道の端を歩いてくる参拝者に来た来たと霊緑を呼んで名を呼んだ。
「神様。どうか一生すこやかにすごせますように。」
人から神様は干渉しない限り見えないから神様に印象付けるようわざと泣かされた女の子の近くに来てかんざしを揺らした。
女の子は泣くのを止めて私に手を伸ばしてきた。
「大丈夫。ちゃんと見てるよ。すこやかに、幸せに育ってね」
もう1回かんざしを揺らすと女の子は安心したように眠った。
きっと一番大好きな夢を見て寝た女の子に私が見えない夫婦は神様が居たのかしらと笑いお守りを受けに行く。
「さーてと、終わり……?」
くい、と着物の袖を引かれて振り返ると男の子が私を見ていた。
「あれ、私のこと見えるの?」
「おねーさん、神様なの?」
きょとんと不思議そうに聞いてくる男の子にしゃがんで頭を撫でた。
「うん。そうだよ。君も、ここに来たんだよ。兄妹揃ってありがとう。ずっと、ずっと見守るからね。」
「うん!俺、また会いにくるから!」
「……そっか。困ったことと自分じゃどうにも出来ない事があったらおいで。私は何時でもここにいるから。」
―貴方に神の御加護があらんことを
そう言って笑うと男の子もまた、笑う。
きっと忘れるよ。
霊緑に言われてまあ、そうだろうね〜と彼が帰った後二人で話していた。
人の記憶に神様はとどまっていられない。
自然に忘れてしまうんだ。
それが当たり前で私はずっと生きてきたのだから。
あのこもまた直ぐに忘れてしまうだろうか。
―数年後―
慌てて、泣きそうな顔で彼が神社に駆け込んで来るのはそう遠くない未来。
物語の始まりになるのでした。