きみは最後に笑う
□灰に浮かべた愛だけを救いあげて
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「あ、ナオさん千尋さん」
最近ナオさんと千尋さんが一緒にいるところをよく見る。後輩投手たち(特にかぎー)を引き連れてる時もあったが、今年に入ってからめっきり千尋さんだ。いいコンビだなあと思いつつカメラのシャッターをよく切っているのだが。
19「何、守里宮西くんのことナオさんって呼んでるの?」
「(しまった、)ええ、まあ」
19「へえ……」
しまった、と思った時にはもう遅かった。ニヤニヤした千尋さんは斜め後ろにいたナオさんの方を向いた。案の定ナオさんはしかめっ面。特に呼び方を隠そうとか約束をしていたわけではない。ただ、暗黙の了解で皆の前では宮西さん、と呼ぶようにしていただけだ。
19「ずいぶん可愛がってるんだね」
25「……まあ、同じ中継ぎで出身も関西で同じでしたし」
「うん。うちが現役の時はよく投球のアドバイスしてくれたり、あとご飯とか一緒に連れてってもらったりして、良くしてもらってますよ」
25「……金子さんは?」
19「守里がオリックスに来た時の保護者役的な何か」
「そう。オリックス側に挨拶行く時とか」
25「ふうん」
19「ねえ守里〜宮西くん不機嫌」
「……たぶん今回は千尋さんかなあ」
19「俺?」
千尋さんは困ったように笑った。ナオさんは視線で千尋さんを牽制しようとしていて更に眉間にシワが寄っていた。分かりやすい人だ。
19「でも、守里と宮西くんみたいな関係性もいいな」
「そうでしょ。仲良しなんですよ」
灰に浮かべた愛だけを救いあげて
20190312