きみは最後に笑う
□鼓動の端っこで泣かないで、鮮やかな宇宙が滲んでしまう
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「ちょっと守里お前来い」
「う、わあ」
うちの近くにいた選手達が「守里さんがダルさんに拉致された!!」と騒ぎ始める。ファイターズにいた時からもう既にダルビッシュ様様だったけど、海を渡ってからはもう世界のダルビッシュ有だ。もう誰も止めない。
「ダルさん、そんなに力込めなくても逃げないから大丈夫ですって」
「そうやけど、他の選手達がいたら話しにくいわ」
「ああ……」
「それよりも、俺に何か言うことないんか?」
「……あるけど、ダルさんに気を遣わせたくなくって」
「……まあ今の守里なら、いや元々か、1人でも大丈夫なタイプだし、何より宮西さんもいるもんな」
「、!」
「まあ、あれや。現役生活お疲れさま。守里の存在は俺もめちゃくちゃ刺激になった。負けてられない、って。最後の最後まで色んな奴に気ぃ遣ってたのがお前らしいわ……って、んな泣くな」
「……ッ、ずるい…ダルさんずるいよ」
「ずるくて結構」
鼓動の端っこで泣かないで、鮮やかな宇宙が滲んでしまう
20190414