プライド
□おんなのこってたいへんなのよ
1ページ/1ページ
久しぶりのオフ、守里に買い物に付き合って欲しいと言われた。どこか適当に札幌駅周辺で買いたいものがあるらしい。
「宮西さん、お待たせしましたっ…」
「いや、そんな待っとらんから大丈夫や」
スマホに向けていた視線を守里の方に向けると、いつも通りのボーイッシュな守里。少し期待していた自分がいた。こいつには言っていないが、ボーイッシュなパンツスタイルも好きだが、女性らしい服装も好きだったりする。本人曰く、「パンツスタイルの方が楽だし動きやすいから」とのこと。まあ本人に似合っているしパンツスタイルも好きだから特別何も言わないが。
「行きましょう」
「ん。……ところで、俺がいてええんか?」
「え?むしろ宮西さんがいた方がいいですけど」
「結局今日は何買うつもりなん?」
「あ〜、新しい服……?」
「何で疑問形なん」
笑いながら言うと守里も可笑しそうに笑った。
「自分で見るより、1番近くで見てる宮西さんに見てもらった方がいいかと思って」
「俺、そういうセンス無いけど」
「いや、うちがぱぱぱっと着たい服選ぶので普通にこういうのがいいとかあれが可愛いとか言っていただけるだけで大丈夫です」
「ふーん」
ふわり、半歩ほど前を歩く守里から、いい匂いがした。普段嗅いだことの無い匂い。匂いの種類は分からなかった。ただ、思いっきり主張するような甘ったるい匂いではなく、守里のイメージそっくりそのままのようなクールで、だがどこか甘さのある匂いだった。
「……新しい香水でも買ったん?」
「あ、そんな変な匂いしました?嫌だったら落としてきます」
「いや、好き」
「え、」
ナチュラルに好きと言っただけなのに軽く頬を染める。「フレグランスをつけてきたんです」と短く切ったうなじを指さしながら守里は言った。
「……喜んでもらえた?」
「……は?」
「いや、だってほら、最近宮西さんと2人になることなんてなかったから。ある意味それが口実かも」
本っっっ当まじでコイツは…………
おんなのこってたいへんなのよ
20190309