プライド

□萌えを追求せよ
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「……剛ちゃん」


「んー? んふふふ、何ですか守里さん」


「そろそろ離れてくれると嬉しいかなぁ」



さっきからコアラみたいにぎゅうぎゅう引っ付いては離れようとしない剛ちゃん。両手両足は何とか動かせるけど、最悪剛ちゃんを引きずらないか心配になる。大事な商売道具と言っていい足を引きずっても大丈夫なのか……?いや大丈夫じゃない絶対。



「今は守里さんにくっつきたい気分なんです!!!」


「そんな力説されても……」



さっきからすれ違う選手達や裏方さん達にちらちら見られて気持ち的に落ち着かない。若手選手には羨ましそうな、ベテラン選手や裏方さん達には微笑ましそうな視線が送られる。練習のあとだし汗臭いし、うちは結構気にしてるんだけど剛ちゃんは気にならないのだろうか。



「なあ剛ちゃん、」


「はい?」


「うちさ、練習後で汗臭いと思うんよ。平気なん?」


「え、汗臭いですか?」


「…………あの、一応うち女やからさ」


「大丈夫ですよ、むしろ柔軟剤のいい匂いがします」


「怖っ」


「……ガチトーンじゃないですか」


「そりゃそんなこと言われたらそうなるわ」


「やっぱりそんなこと言いつつ怒ったり引き離そうとしない守里さん優しいなー好きだなー」


「……あー、はいはい分かった分かった。はい、更衣室着いた。シャワー浴びてくるから剛ちゃんそろそろ離れようねぇ」


「ちぇー」





萌えを追求せよ

20190223


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