プライド

□おほしさまのクッキー
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この状況を誰か説明して欲しい。隣にはご機嫌なまもさん。握られる右手。正直、緊張してしょうがない。すぐそこにはまもさんの端正な横顔。どこの香水だろうか、とてもいい匂いがする。



「……まもさん、」


「んー?」


「これ、どういう状況ですか?」


「んー、瑞輝を愛でてる」


「ええ……?」



瑞輝は可愛いねえ、とまもさんは顔を綻ばせる。僕からしたら、今ふにゃりと笑ったまもさんの方が可愛いのに。マウンドに上がっている時の表情とは違う、リラックスした表情。ねえまもさん。僕はまもさんには可愛いじゃなくて、かっこいいって思われたいんです。……なんて言ったら、笑われちゃうかな。



「瑞輝はえらいね」


「何がですか?」


「手のマメ。指先も皮が硬くなってる。努力してるんだなって思っただけだよ」


「……それは、まもさんも」


「うちも?」


「僕の知ってる女の人の手は、柔らかくて優しい。だけど、まもさんの手は、僕らと変わらない。努力してる結果が手に現れてます。なのに柔らかくて優しい。まもさんの人柄……ですかね、」



言ってから、しまったと思った。つい口走ってしまった。恐る恐るまもさんの顔を窺うと、照れたように笑っていた。



「はは、ありがと」


「……ふふ、どういたしまして?」


「瑞輝はやっぱり可愛いねえ」



かっこいいって言ってください。なんて、まだ言えないまま。





おほしさまのクッキー

20181008


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