青の魔女語
□一章、出会い
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「そういえばお前たちが残りの同室者か?って事は、どっちかが魔女...」
「僕が魔女だ。それと、王国側に付くとかありえない話だから」
俺の言葉に被せて、馬鹿じゃないの、とでも言いたげにこっちを睨んでくる魔女。
「私は、姫様の‟監視役″のミトです」
「姫様っていちいちうぜぇんだよ、バカト。僕は、マリヤだ」
という風に自己紹介が始まった。ミトによると今日のマリヤは、凄い不機嫌らしい。その元凶は、俺達の前に会った理事長らしい。
コンコンコンコン
僕が一際目立つドアを4回ノックすると中から返事が聞こえたのでバカトと一緒に中に入る。
「いらっしゃい」
僕が理事長室に来たのにはわけがあった。
「どういうつもりだ」
「なにがだい」
白を切る理事長にだんだん苛立ってきた。
「まず、一つ。このチョーカーなんなの?!僕、魔力が全然でないんだけど」
「それは、帝国のお偉いさんともう話はしてあるんだけど」
そういって、チラッとバカトを見る理事長。バカトは、いつもしている営業スマイルをニコニコ決め込んでいる。
「まあ、いいや。君が何時か暴動を起こしたらこの学園はおしまいだからね」
「うっ、でも監視役までは...」
「私がお嫌ですか?」
「嫌だよ‼」
バカトと一緒にいていい思い出なんてなかった。組織に拾われた僕は、監視役としてバカトを置いた。同い年だったから僕は、少し嬉しくて。でも一緒に過ごしてる内にだんだん僕を苛めてきたんだ...。
「(絶対復讐してやる)」
僕は再度意気込んでバカトを睨んだ。
「じゃ、じゃあ、この制服はなんなの!!」
バン!と理事長の前に突き出した皆とは違う制服...女子制服を。理事長は、僕の威圧をものともせずにニコニコと笑っている。
「やっぱダメ?」
「ダメだよ」
理事長の言葉即答で返すマリヤ。理事長は、目の前に出された制服を見て顎に手を当て考える素振りをした。
「しかたないな〜、リメイクなら自分でしてよー」
そう言って後ろから男子用の制服を取り出した理事長。あるんじゃねえかよ。
言うこともなくなったので、制服を持って寮に帰ろうと扉を触ったら理事長に呼び止められた。
「あ、新学期早々のテストでいい点採れなかったら一週間着てねぇ」
「着るかバカ!!バカト行くぞ」
「はいはい姫様」
という事があったらしい。もちろんミトの話でだが。