未来図

□個性:未来予知
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度重なる敵の襲撃により、雄英は全寮制となった

最初は修学旅行気分の共同生活も、少しずつ慣れてきて1Aらしさが出るようになった










「おい起きろ」



ドスのきいた声に、ぱち、と目を開ける


共同スペースで遅くまで勉強していたら、そのまま寝てしまったようだ





『……あ、爆豪くん…』


「何でここで寝てんだザコ」


『爆豪くんはどうしたの…?』




寝ぼけ眼で尋ねてみる

時間は深夜一時だ






「水」




それだけ言って水道に行くと、コップをとって水を飲んだ

ボーッとその様子を見ていると、また「おい」と声をかけられる





『んー…?』

「寝るな、女子棟入れねーんだから自力で帰れよアホ」

『んん、分かってる…』

「嘘つけ」



爆豪くんは息を吐くと、私のもとに来て私の向かいに腰を下ろした





『…あれ、帰らないの……』

「ボケてるアホ残しておけるか」

『ばくごーくんて…』

「あ?」

『私のこと、けっこー好きだね…』




ふふ、なんて寝ぼけながら笑うと、爆豪くんは少しだけ黙ったあと、口を開いた










「好きだからな」










その言葉を最後に、爆豪くんは席を立って男子棟に帰る



私はというと、頭が覚醒した








『………………えっ、え?』




どういう意味?!と身体を起こしてみるも、もう爆豪くんはいなくなっていた








***






好きだからな



聞き間違いかと思ったが、耳にはっきり残っている


その好きはどういう意味なのか、私は聞くのが怖くて出来なかった









***




「雫ちゃん!私の未来占って!」

「麗日の次は私ね!」

『占いとは違うんだけどなぁ…』





分かったよ、と笑いかけてお茶子の手を取る

そして彼女に意識を集中させると、頭の中に映像が流れてきた



一日後、二日後…、三日後が見えそうで見えない







『うーん、二日後まで特に変わったことは起きないよ。いつも通り、平和』

「平和が一番やね!

三日後は見えた?」

『あと少しで見えそうなんだけど、ダメだった』

「じゃあ次は私で練習して!」




芦戸が手を差し出すので、また手を取って意識を集中させる



これは私の未来予知の個性を伸ばすための訓練で、よく誰かの未来を見せてもらうようにお願いしてる

女の子たちは占い気分で了承してくれるので、訓練が捗って助かっている






『うんとね、小テストで赤点食らって補習受けてるよ

今から勉強しといた方がいいかも』

「うっそ!!勉強する!!」

「賢明な判断ですわ!」

「雫ちゃんの未来予知さすがやわぁ」



ははは、と女の子たちの笑い声が共同スペースに広がる


そんな時、外に出かけていた男の子たちが帰ってきた

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