未来図

□傍観者
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「テメェのその、なんでも分かってるような、傍観者みてーな態度が気に食わねえ」






そんなことを言われたのは、体育祭の少し後

さして仲も良くない、話した回数は数回程度の彼に、鋭い目つきでそう言われた







『………そう』


「そーいうところだよ!
まわり全部、子供扱いしてるみてーな、自分は違うみたいな態度が気に食わねえ!!」


『そっか

合う合わないは誰にもあるもの、爆豪くんにとって私は、"合わない"人間だって事でしょ?


なら私は、あなたにあまり近付かないようにする』


「だから!!」


『それ以外に爆豪くんが満足する答えはあるの?』




困ったように笑ってみせると、彼はさらに目を釣り上げた

そして一言、気持ちが悪い、とだけ言った








「テメェは自分の感情を表に出さねえ

いい子ちゃんで、物分かりのいい"ガキ"を演じてるだけで、腹の中に何思ってんのか分かったもんじゃねぇ


それが気持ち悪りぃ」


『………私に感情をぶつけて欲しいの?』


「…………ちげぇ、ただ、気に入らねぇだけだ」


『よく分からないね、爆豪くん』






放課後の教室

私と彼しかいないこの空間


切島くん達が見たら「いじめか?!」なんて騒ぎそうな、そんな雰囲気






『よく分かんないけど、言いたいことを言えっていうのなら、言わせてもらう』


「あ゛?」


『私は傍観者"みたい"なんじゃない、傍観者なの

君のよく言うモブ、一般人





………ヒーローにさえ救ってもらえない、村人Eくらいの人間なんだよ


全て持ってる爆豪くんとは、全部違う』




爆豪くんが珍しく、パチクリと瞬きを繰り返す

驚いた様子の彼に、そういえば爆豪くんとこんなに長く話したことないな、と今さらながら考えた



縁あって同じクラスになったのに、話したことは本当に少なかったから









『じゃあね、また明日』




にこ、と愛想の良い笑顔を浮かべ、荷物を持って教室を出る


爆豪くんは黙ったままだった




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