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□瑠璃色の暗殺者
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あるよく晴れたクラリネスの王城にて、これまたやっかいな一報がゼン王子のもとに届いた。
「ーなにっ!?暗殺者だと?」
あからさまにしかめっ面を見せたゼンに、彼の従者であるミツヒデは思わず苦笑した。
ここのところ書類に埋もれていたのと相まって白雪にも会えていないからか、機嫌が悪いのだ。
ミツヒデはあぁ、と頷きながら手にしていた書類をゼンに渡す。
「…なんでもかなり腕の建つ暗殺者らしいぞ。取り押さえるのが大変だったってさ」
「狙いは俺か?それとも兄上?」
「それがー」
「…口を割らないんだって。」
不意に横から入ってきたのは、木々だ。ゼンはちらりと見ただけで、ふーんとだけ頷いた。
「なるほどな。で、俺にそいつと会えって?」
「まぁ…イザナ殿下もいらっしゃらないし、今そいつの罪を裁けるのはゼンしかいないからなぁ。」
ミツヒデはまたも苦笑した。