モノクロの女王と白金
□3.十字架を背負い、旅立ち
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空条家に、不穏な空気が流れ始める。
それは過去からの運命であり宿命であり。星の血が流れる者にとっては偶然の集まった必然なのだ。巡り巡った「世界」であろうと、ジョースターは巻き込まれてしまう。
もしこの世に神がいるのならば、彼ら程緻密に計算された儚く美しく調和のとれた運命はないだろう。
穏やかに流れる川が、少しずつ加速していく。ここに波紋を起こそう。氾濫を起こす前に、小さな希望を投げ込むのだ。
それが川の流れをどう変えるのか、それは世界や星にさえ判断がつかない。
耳鳴りがする。
「大丈夫か?」
「……うん。でも、なんだろう。何か…おかしいような」
ただ、嫌な予感と雰囲気が周りを囲い、逃げ道を無くしている。籠に囚われた鳥のような気分で、じわじわと追い詰められる草食動物のような気分でもあった。
花京院が後ろからやってくる。進まない私たちを見て不審に思っているので、仕方なく玄関を出て、今度は承太郎が目を細めた。
「承太郎?」
「…何か妙だ」
花京院も足を止め、振り返る。空条家は、嫌な程静かだった。何か、何かがおかしい。空気が変わったようだ。花京院も何かとまではわからなくても、その異様な何かの存在を察したらしい。
「…いつもなら、ここでおふくろが来る筈なんだが」
「…ほ…聖子さん?…そういえば…」
「律儀に呼ぶ必要はねーよ。…ちょいと探してくるぜ」
「あ、私も!」
「私も行こう」
こうして、私たちは分かれてホリィさんを探すことになった。