血界戦線

□その言葉は嘘偽りがない
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「君の眼は綺麗だ」
それは驚きの言葉だった。
今の今までユーナや毒蛇の一族達の眼を見た人が言う言葉は必ず「化け物」や「血の色」などと言う言葉ばかりだった
そんなことを言えばスティーブンが
「僕だって同じ色だよ」と言うかもしれない。
でもユーナは違うのだと感じた
スティーブンの眼の赤は
ユーナの眼と違って鮮やかなルビーの様な色に見える
それに比べて自分の眼は確かに血の色みたいだと幼い頃からそう思っていた。
そのせいか綺麗だと言う言葉には慣れていなく少しづつ少しづつ恥ずかしくなって顔が赤くなっていく。
「そんなこと言われたの初めてよ」
「そうなのかね?」
ユーナのその言葉にクラウスは意外だと言う風にそう言う
ユーナはそれに頷く。
「今の今までそんなこと言われなかったわ、逆に化け物とか血の色とか言われ続けてたもの」
とサラリとユーナがその事実を言えばクラウスは少しづつ顔を顰めていく
そしてそっとユーナの顔を大きな手で包んだ。
突然の事にユーナは内心驚きつつも、冷静に眼の前の相手に問う
「どうしたの、クラウス?」
「その言葉を言った者達は君の眼……いや、君の本当の美しさを知らないのだろう」
「えっ……?」
今、なんて言ったのだろうかとユーナはそう思ったと同時に恥ずかしさに………いや、先程よりも強い恥ずかしさに襲われた。
確かにこうして褒められることは嬉しいのだが、流石にこれは褒めすぎだ。
しかもその言葉が飾り気のない本心なのだからこれほど厄介なものはないと心の中でそう溢す。
そういう人なのだ、クラウスという男は
「なっ、何言ってるのよクラウス」
「私は本当のことを言っただけだが」
「本当のことって………!!」
あぁ、本当に心臓に悪い
ユーナは心の中でそう溢す、クラウスは冗談でこんな事は言わない。
だからこそ自分がこんなふうに言われるととても恥ずかしくなる
それも大好きな恋人からなら尚更だ
ユーナがそろそろキャパオーバーするかしないかの瀬戸際でまるでそれにとどめを刺すかのようにクラウスは言った
「……だが、君の美しさは私だけが知っていればいいかもしれないな」
その言葉を聞いた瞬間にユーナは顔を今まで以上に赤くするとそのまま、顔を俯かせてしまったのだった。






そして、この後レオナルドやザップなどがこの状態の二人を見て大騒ぎをするのだかそれはまた別のお話……。

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