鋼の錬金術師

□手の大きさは違くともいずれは追い抜かれるものである
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それはある日の午後のことだった。
「サレッタ!手比べしないカ?」
「手比べ………?」
リンの突然の提案にサレッタは首を傾げる
それはそうだ突然手比べをしようなんて言われたら誰だって首を傾げるはずだろう。
「なんでまた手比べなんて……」
とサレッタが聞くと
「なんとなくダ!」と
リンのその素直な言葉にサレッタは何も言い返そうとはしなかった、いやできなかったというべきだ………。
なにせリンのその目と素直さに根負けしたのもあり得るが、それは置いておこう
リンの様子を見てサレッタは苦笑しつつもリンの提案に乗った
「そっか……うん、いいよ手比べ」
「本当カ?なら早速手を合わせよウ!」
そう言うとリンはすぐに自分の手をサレッタの前に出す。
サレッタもリンが手を出すと自分の手をリンの手と合わせた。
「リンの手、大きいね……さすが男の子……」
サレッタはそう言いながら、リンの手と自分の手の大きさを見比べる。
自分より大きな手、年下だけれど大きいなぁ……とサレッタはそう思った。
「そうカ?でも確かに俺の方がサレッタの手より大きいナ」
「なんか悔しい………」
サレッタがそう呟くとリンはニッと笑うとそのままサレッタの手を握った。
「!?」突然のことにサレッタは驚き
リンの方を見るとリンはただ何も言わずサレッタの手を握り続けるだけだった。
「リっ、リン………どうしたの?突然」
「いヤ、こうしたら結構大きさ分かるかなと思ってナ」
傍から見ればこの繋ぎ方は恋人つなぎもいうものだ
リンはそれを知っているかは分からないがサレッタの顔はとても赤くなっていた。

「サレッタ」
ふっとリンに名前を呼ばれサレッタは顔をリンの方に向ける
「俺ハまだお前より子供だけドこれから追い抜いていク、だかラ」

ー覚悟しておけヨー

サレッタはその言葉を聞くと先程よりももっと顔を赤くして「うっ……うん」と頷いた。
その様子を見てリンほまたニッと笑うとそのままサレッタの手を引いて自分の胸にポスンッと招いた
そしてそのままギュッと抱きしめていた………。







もはや手の大きさ比べという目的から大きく外れたある日の恋人達の午後だった。

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