山口忠は完全に僕を好きじゃない【月島×山口】




「ねぇツッキー」

「…何。」

「へへ…」

急に名前を呼んだと思ったら突然笑う。
それも、可愛く、綺麗に。
何がしたいのか分からないのが歯痒い。

はにかむ姿が美しく見えるのは、僕だけにしたい。
僕だけをみてほしい。

バカらしいなんて後々自分で思うけど。


「…好きだよ」

「僕も」

「…そっ、か…」

いった後に恥ずかしくなったのか、山口は俯いてしまった。
耳まで赤くなってるから赤面してることなんて分かるのにね。
とくとく、と微かに聞こえる山口の鼓動の音。
それだけで落ち着くから、もうここを離れたくない。
それだけを思ってしまう。

少しだけ遠慮がちに、声はいつもより小さめに、けど欲望は大きめに。
山口は、俺のどこがすき?と、聞いてきた。

どうせ聞くなら顔もみてほしかったけど、山口はこれでいっぱいいっぱいなんだろうと多目に見てやった。

少し微笑んでから、声は通常に、けれど強調して、言い張った。


「綺麗なところ」

「?」


綺麗、とだけいった僕を見つめて綺麗な三白眼で僕を見つめてくる。
ほんのり赤くなった頬を見て、
嗚呼、そうやっていつも僕だけを瞳に閉じ込めていてくれたら、僕はそれだけで幸せなのに。

山口の心だって全部僕のにできたら、君に愛を伝えることができたら。

楽なのに。
幸せなのに。

叶わない。

そう思うだけで胸三寸が積もるだけなのに。



……じゃあ仕方ない。

そうなったらとことん好きにさせるまでだ。

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