ハイキューBL小説 山口忠受け

□ふぁーすとせかんど【嶋山】
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ふぁーすとせかんど【嶋山】





「初恋の人?」

それはなんの前触れもなく、突然にやって来た。

時季は春で、忠と出会って、1年が経過する頃。
今日もいつもと同じにジャンプフローターサーブを教えていた。
それもだんだん終わりに近付いてきて、今日はもう帰ろうって話しになった時に忠が口を開いた。

聞けば学校で話題になっているらしい。
忠もそういう話しに興味を持ったりするのか、とか色々考えてたら、忠に名前を呼ばれ、現実に引き戻された。


「あ、あぁ、初恋の話だったな……そうだな、俺は高校に上がってすぐの頃だったかな」


高校入学当日に引っ越した俺は、皆と1週間遅れて学校に行ったんだ。
その時はすごく緊張して、ガチガチだったよ、でも、そんな俺を笑いもせず優しく見守ってくれる先生がいたんだ。
しかもその先生は俺の中学にいた先生だったんだ。
その時は驚いたさ、見学だとか最初は思ったし、とにかく同じ高校来るとは思ってなかったからな。

その先生は俺が中学2年生の時に教師になったばっかりで23歳位だったと思う。
高校に入ったときは25歳だな。
その先生は体育の先生で、男なのにバレーしてた俺達を興味津々で見てた。
元々女だけのスポーツじゃなかったしな、俺のいた中学、高校の学校はスポーツ中心だったし、でも俺は勉強の方が好きだった、バレーなんて友達に言われてやってみただけだったしな。

なのにあの先生は自習してる俺を連れ出して無理矢理バレーさせてた。
毎日諦めもせずに、何であんなに必死になってたんだろうな。
はっきりとは分からないけど、それほど生徒が好きだったんだろうな。
まぁ、俺がそう思うだけだし、分からないんだけどな。


「先生は先生なりの、考えが有ったんだろうな…。」

それは教師になってみないと分からないな、と、忠に向けて少し笑ってみせた。

忠はそれに笑い返してくれた、てっきり俺は呆れてるのかと思った、長いしな。
内心ほっとしながら話を続ける。


そんな事が続いてテスト期間に入ったとき、その先生に呼ばれたんだ。
挨拶してからの第一声が、『バレーは好き?』だった。
正直、即答は出来なかったよ、さっきも言ったけど、俺は友達に言われてやってみただけだからな。
少し沈黙が続いて俺が言ったのは、否定だった。
『正直のところ、バレーは苦手です、バレーだけじゃなくて、他にもバスケとか、運動するのが好きな方ではないので』
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