ジッタードール
□ジッタードール W
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『ん・・・。』
目が覚めた。そこは、戻りたくもない見慣れた場所だった。
目の前には、あのパソコン。
カーテンを開けていた窓から射す光は、あの幸せの時間を思い出させる。
『・・・あれは、夢。』
認めたくない。
これが、現実。
さっきの夢は、全部覚えている。
この世界の拒絶反応のように、頭痛が起こりそうだ。
『優香子・・・。』
呼んだって、出てこない。
枯れたと思った涙が出てきた。
・・・チャリン。
『・・・?』
右手から、何かが落ちた。
何か、金属のなにか。
落ちた物を見てみる。
『・・・!』
それは、優香子が密かに学校で身に付けていたネックレスだった。
優香子が持っていたのは、十字架の真ん中に赤い石が埋め込まれ、十字架を小さなリングが繋がっている。
でも、わずかに違いが見られる。
落ちたネックレスは青い石が埋め込まれていた。
まさか、ペアネックレス?
「これ、あげるね?」
確か、優香子に夢の中で見えないように渡された物だったのかもしれない。
『・・・優香子・・・。』
まるでそれが優香子のように思えたのだ。
愛しいものを抱え込むように、そのネックレスを胸に当てた。