ジッタードール
□ジッタードールU
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雨あがる途中の雫(しずく)をガラス越しに見ていた。
普段はカーテンで覆い隠す窓も、ここ最近続く雨によって開かれた。
意識を外さないように、右目でキーボードを確認する。
……無駄なことぐらい、わかってる。
でも、生きている中で私が最(もっと)も全力でがんばれるものなんて、こんな事しかないんだ。
私は引き込まれる。
ほんの一瞬にしか生きられない、楽園のようで、そのたびに引き戻される悲しみの世界へ。
私の意識は、このゲームに溶け込んでいく。
このゲームによって、私の何かは乱れていく。
いや、もう乱れていた。
そして、私は操る。
いや、操られる?
この、ゲームよって?
それとも、画面の向こうの私の分身は操ラレル?
私が操ラレテイル?
読み込まれたステージを見ると、そんな考え事は忘れていった。
その横には接続されていないコネクターの数々が埃(ほこり)まみれなっているのが見えた。
それを無視して、繋がれているキーボードの動力を見る。
私は必死に画面に食らいつく。
私が人生で唯一、一生懸命で命がかけられるものに命を削(けず)る。
それが人生で無駄なものだったとしても。