暁月

□act.0
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響き渡る悲鳴。気味の悪い水音。

何の音なのか、初めはわからなかった。長い間閉ざされていた空間に、光が差し込むまでは。


「子供か」


眩しさで目が眩む。悲鳴や建物の崩れる音を背に、長身のその男はただ無機質にそう呟いた。


「だれ……?」


長身の男の隣に、もう1人いる。


「団長。こいつももう殺ていいか?」


嗚呼、殺されるのか。そんなことをぼんやりと思った。
それならそれでいい。
今までも、死んでいたようなものだ。

ーー異端児。

ノアは、クルタ族にとってそういうモノだった。
通常クルタ族の目は碧から緋に変わる。しかし、ノアは違った。ノアの瞳は左が碧、右が緋色のオッドアイ。

ただ、それだけだった。

それだけで、13年もの間陽の光を拝むことができなかった。


「……いいよ。殺して」


せめて1度だけでも、陽の下に出てみたかったが。
まあ、それも運命なのだろう。

おそらくこの連中に滅ぼされるであろうクルタ族にいた、ノアの。
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