サイバー都市帝王・ギガの命による大々的な真拳狩り。電脳六闘騎士を筆頭とする部下達の手により、サイバー都市内の真拳使いのほとんどは既に捕らえられ、ギガの手によってオブジェへ変貌させられていた。それに併せ、公開毛狩り処刑も激化の一途を辿り、サイバー都市は過去に無い混沌さを見せ、帝王の絶対的な支配下に置かれていた。





都市内の真拳使いが枯渇した現在、その魔の手は都市からマルハーゲ帝国にまで伸びている。ただ一人遠征を許されている王龍牙の見事な手腕の元、多くの真拳使いがサイバー都市に攫われていった。その真拳使い達も例に漏れずオブジェに変えられ、ギガのコレクションは今や膨大な量に膨れ上がっていた。それでも真拳狩りの命は打ち切られない。打ち切られない限り、龍牙は任務を遂行する。帝国のために。








ヘッポコ丸を攫ったのも、ハレクラニに金を催促に来たついででは無い。見付けたのは確かに偶然だったが、与えられた任務を愚直に遂行した…ただそれだけだった。










その任務の中で──龍牙は一つ、楽しみにしていることがある。





「出ろ」





ハレルヤランドから長い長い空中旅行の末到着したサイバー都市。球体の檻の扉を開けて、ヘッポコ丸に外に出るように促す龍牙。既に『スレイブリング』で後ろ手に拘束されているヘッポコ丸は抵抗の術を奪われている。それでも素直に従おうとしないのは、そう簡単に屈しないという意志の表れだろう。




まるで龍牙の声など聞こえていないかのように、そっぽを向いたままヘッポコ丸は動かない。その様子を受けて龍牙は再度出るように促したが、ヘッポコ丸の態度は頑なだった。力及ばず敵の本拠地まで連行され、抵抗する手段もとっくに封じられてしまったのに、ここまで強気でいられるのはどうしてなのだろう。





まぁこの程度はよくあることなのか、龍牙はそれ以上ヘッポコ丸に促さなかった。代わりに側に仕えていた白い機械スーツを身に纏った部下に顎で指示を出した。指示内容を正確に受け取った部下は、足早に牢の裏に回った。訝しながらそれを見守っていたヘッポコ丸の目の前で、その部下は大仰に足を振り上げ…そして、牢を蹴り上げた。




勢いで傾く牢。まさかそんな強行手段を取られると思っていなかった(せいぜい引っ張り出される程度だと思っていた)から、ヘッポコ丸は咄嗟に踏ん張ることも出来ず、無様に牢から転がり落ちた。腕を拘束されているせいで受け身も取れず、強かに肩を打ち付けた。





「いってー…うっ!」
「ったく、手間かけさせんなよ」





痛みに呻くヘッポコ丸の背を、龍牙は踏み付ける。言葉とは裏腹に、その声音には多分な愉悦が含まれていた。龍牙にとって、反抗は嗜虐心を刺激する絶妙なスパイスなのだろう。大人しく従われるよりも、目一杯反抗された方が龍牙としては楽しいのである。








これからの行為を思えば、尚更──





「は、放せよ…!」
「はぁ? 放したところで、お前に逃げ場なんてねぇんだよ。そんな無意味な懇願をする必要あんのか?」





かかとで背中を踏み躙りながら、龍牙は嘲り笑う。ヘッポコ丸は痛みと抵抗出来ない歯痒さに呻きながら、それでも横目で龍牙を睨み付け続けた。これからどんな仕打ちを受けることになろうとも、絶対に屈したりしない──真紅の瞳には、強い意思が宿っていた。





その強き意思を目の当たりにした龍牙はゾクゾクと背を震わせた。龍牙はこういう強気な瞳の持ち主を屈従させるのが好きだ。興奮すると言ってもあながち嘘でもない。彼は自他共に認めるサディストだ。性的趣向ではなく性格的な意味ではあるが。どちらにせよ、龍牙の頭には最早ヘッポコ丸を屈服させることにしか興味が無い。








屈服させる手段は決まっている。それは龍牙がこの任務の中で楽しみにしていることだからだ。





「お前ら、ちょっと出てろ。呼ぶまで来るなよ」
「あ、龍牙さんまたですか? そろそろギガ様にどやされますよ」
「だーいじょーぶだーいじょーぶ。これはギガ様も知ってっからな。それで何も言ってこないんだから、ギガ様もお優しいよなぁ」
「全くだ。では、終わったらいつものようにお願いしますよ」
「あぁ」





上官と部下という間柄であるはずなのに、交わされた言葉はやけに軽い。後ろ手にヒラヒラとひらつかせながら出て行く二人の機械スーツ。ヘッポコ丸は痛みに耐えながらその背を見送った。頭上で交わされた会話の不明瞭な部分が、ヘッポコ丸は気になって仕方なかった。








さっき機械スーツの方は『また』と言っていた。その口振りからして、龍牙がそんなことを言うのは初めてではないらしい。しかし内容とは裏腹に、咎めるような声音では無かった。例えるなら、一種の野次馬精神から出たものだ。龍牙もそれを理解した上で答えている様子だった。どこか楽しそうでさえあった。



それだけで、こうして拉致されるのは自分が初めてではないのだとヘッポコ丸は推察した。そしてこの後何をされるのかは知らないが、それは最早ここで定期的、且つ継続的に行われていることなのだろうとも。何をするつもりなのかヘッポコ丸にはさっぱりだが、少なくとも殺されはしないだろうと踏んでいた。殺すのが目的なら、こんな海上都市まで連れ去る必要性が皆無だからだ。








だから、ここで行われるのは殺戮じゃない。ならば、なんなのだろう──





「おら、起きろ」





機械スーツが出ていって扉が閉まったのと同時に、ヘッポコ丸の背から足を下ろした龍牙は、そのままヘッポコ丸の二の腕を掴んで体を引っ張り起こした。後ろ手に拘束されているせいで肩に妙な力が掛かっているのか、引きっった痛みが走る。ヘッポコ丸は痛みに呻きながら、また龍牙を睨み付ける。ここに連れて来られてから、睨み付けるか痛みに呻くかしかしていないヘッポコ丸だ。




龍牙は睨まれながら、ヘッポコ丸の顔をまじまじと観察する。そして「へぇ」と満足そうに笑みを浮かべた。





「よく見りゃ可愛い顔してんじゃん。ま、うちの詩人には劣るけど」





知るか、つか詩人って誰だよ、と内心で毒づきながら、ヘッポコ丸は龍牙の手を振り解こうと身を捩る。しかし拘束されたままではロクに体を動かせなくて、それは無意味な抵抗となったのだが。




龍牙は「萎えなくてすみそう」と宣いながらそのままヘッポコ丸を膝立ちにさせ、片手で頭部を掴んで固定した。そしておもむろに、自分の下肢をくつろがせ、自身を露出させた。突然目の前に現れた男根にヘッポコ丸はギョッと目を見開き、次いで羞恥で顔を赤くさせた。





この時点で、まだヘッポコ丸は自分が何をされるのか…何をやらされるのか、理解していなかった。普通なら、気付いても良さそうなものなのだけど。しかし性知識に乏しい彼は、龍牙の企みを見透かすなどという真似は出来なかった。





「舐めろ」





羞恥と困惑に染まったヘッポコ丸に、自身を突き出しながら龍牙は言う。ヘッポコ丸は耳を疑った。龍牙の言葉の意味が分からず、思わず龍牙の顔を凝視してしまった。龍牙はヘッポコ丸に意味が伝わっていないと解釈したらしく、もう少し分かり易い言葉で同じ要求をした。





「フェラって知らねぇの? オレのこれを舐めて、オレを悦ばせろって言ってんだよ」
「なっ…何言ってんだ! 誰がそんなことするかよ!」





さすがにヘッポコ丸も龍牙の言葉を正しく理解出来たようだ。だが、理解したイコール遂行する、とはならない。当然だが、ヘッポコ丸は今までそんなことをした経験は無い。フェラという言葉すら知らなかった。それ故に嫌悪感はMAXだ。青ざめた顔で、ヘッポコ丸は拒絶の意で首を横に振ろうとした。だが、頭部を掴まれているせいで、ほとんど首を動かせなかった。






そして、ヘッポコ丸の拒絶など、龍牙にはなんの関係も無いのであった。





「お前がなんと言おうが、するんだよ。おら、口開けやがれ」
「や、やだっう…ぐぅ!?」





拒絶の言葉を吐いた瞬間、唇が開いた瞬間を、龍牙は見逃さなかった。まだ勃起の気配も見せていないそれを、龍牙はヘッポコ丸の口に容赦無く突っ込んだ。突然のことにヘッポコ丸は反射的に後退しそうになったが、頭部を掴む龍牙の手はそれを許さなかった。





「ほら、さっさと舐めろ。噛んだらぶっ殺すからな」
「うっうぅ…んっ…」





腰を小さく動かしながら龍牙は笑う。息苦しさと青臭さで目に涙を溜めながら、ヘッポコ丸はおずおずとそれに舌を這わせ始めた。嫌で嫌で仕方が無いけれど、どうやっても抗えないのだから、従うしかないのだった。胸の内を嫌悪感で満たしながら、ヘッポコ丸の奉仕は始まった。







たどたどしくヘッポコ丸の舌が龍牙のを奉仕する。如何せん経験が無いので、アイスキャンデーを舐めるように舐め回すだけだ。それでも龍牙は確実に興奮していて、間もなくその先端から先走りを零し始めた。その苦味と息苦しさに溜まっていた涙を溢れさせながら、ヘッポコ丸は懸命に奉仕を続けた。次第に膨張していくそれに噎せながら、早く終われと願いながら、ヘッポコ丸は舐め続けた。







龍牙は内心で下手くそだと罵りながらも、少しずつ快楽を拾っていた。彼は今までこうして幾人にも奉仕させてきた。中にはヘッポコ丸のような素人も少なくなかった。だから龍牙は、どれだけ相手が下手であろうとも、自ら腰を動かして自分のイイ部分に当たるように調整し、快楽を拾う。まさに独り善がりの行為だ。そしてこの行為の最中、相手の顔を眺めるのが、龍牙はたまらなく好きだった。









屈辱、苦痛、羞恥に塗れた相手の顔を眺めながら絶頂を迎える──それが龍牙の一つの至福の瞬間なのだ。









ヘッポコ丸の上顎に擦り付け、喉をこじ開けるようにして腰を動かしていた龍牙は、込み上げてくる射精感を自覚した。酸欠と嘔吐感と慣れない口淫に顔を歪ませ喘いでいるヘッポコ丸の頭部をいっそう強く掴み、唸るように小さく呟いた。





「っ…出すぞ。飲め」
「んぐぅ!? んんぅ〜〜〜〜っ!!」





ビクビクと腰を引き攣らせながら、龍牙はヘッポコ丸の喉奥に精液を叩き付けた。容赦無く流れ込んでいくそれに悲鳴を上げるヘッポコ丸だったが、頭部を掴まれているせいで離れることが出来ない。止めどなく流れ込んでくる精液を、ヘッポコ丸は吐き出しそうになりながらも懸命に飲み込んでいった。そうしなければ離してもらえないと、直感で判断したのだ。本来飲む物ではないそれを飲み込むのは容易では無かったが、ヘッポコ丸は苦しさに足をバタつかせながらも喉を上下させた。





最後の一滴まで出し切り、ようやく龍牙は一息ついた。ズルりと口内から自身を引き抜いて掴んだままだった頭部を離してやると、途端にヘッポコ丸は横倒れになって激しく咳き込んだ。まだ口内に残留していたらしい精液を吐き出し、苦しそうに荒い呼吸を繰り返す。止まる事を知らない涙が頬と顎を伝い、床に幾つもの斑点を作り出していた。





「げほっげほっ…うぇ…げほっ…」
「おいおいちゃんと全部飲み込めよ。…まぁどうでもいいが」





飲もうがなんだろうがな、と呟きながら、龍牙は苦しむヘッポコ丸の腰を両脇から掴み、そのままうつ伏せにして腰だけを突き上げるような格好にさせた。そしてズボンのベルトに手を掛けてそれを外し、そのまま一気に膝まで下着ごと引き下ろした。





嘔吐いていたヘッポコ丸が下半身を露出させられた羞恥に顔を赤らめながら抗議もとい拒絶の言葉を吐く前に、龍牙は唾液で申し訳程度に濡らした指をその後孔に突っ込んだ。潤いの足りないそれは、ヘッポコ丸に激痛を齎すには十分すぎる程の役割を果たしていた。





「ぎっ、ぁ…っ!!」
「男はこれがあるから面倒だぜ。その分締まりが良いんだけどな」
「うあっ、あ…っうご、かすなぁ…!!」





ナカを探るように指が動く度、形容し難い痛みがヘッポコ丸を襲う。悲鳴に近い声を聞きながら、龍牙は遠慮無しに指を動かした。





フェラ同様やはり経験は無いようで、ナカは狭く、龍牙の指を受け入れることを拒否するかの如く固く閉ざされていた。龍牙は狭いそこを押し広げるように指を動かした。潤滑剤が足りないため動かすのも容易では無かったが、龍牙は構わず続けた。それがヘッポコ丸に与える苦しみを助長させると知っていながら。






内壁を擦ったり、指を抜き差ししたり、たまに指先をくいっと曲げてみたり…龍牙が好きに動かす度、引き攣った悲鳴が上がった。痛みと異物感にヘッポコ丸の体は強ばり、弛緩する気配は無い。指一本すら余裕で動かせない。これでは挿入に至るまでかなりの時間が必要になるのは否めない。龍牙はそれに焦れてチッと舌打ちをした。







しかしこれは仕方の無いこと。ヘッポコ丸はこれまで男に抱かれた経験など無いし、龍牙もそれに考慮した愛撫を施していないのだ。焦れるのはお門違いだと言える。しかし龍牙は焦れを苛立ちにすり替え、一度指を引き抜いたかと思えば…あろうことか本数を一気に三本に増やし、無理矢理それを突っ込んだのだ。





「いっ!? ぁっ…!!」





あまりの激痛に、もはやヘッポコ丸はまともな声も上げられない。許容量を大幅に超えた質量に耐えられず、後孔は裂け、錆臭さが鼻を突いた。激痛にガクガクと身を震わせながら、ヘッポコ丸は荒い呼吸を繰り返している。無意識に握り締めた両の拳は力を入れ過ぎているのか真っ白になっており、涙は止まる事を知らず、床の斑点は増える一方だ。





血が潤滑剤の役割を果たしているのか、先程より指はスムーズに動くようになっていた。それを良いことに、龍牙は無遠慮にナカを掻き乱した。三本の指をバラバラに動かして、性急に事を進めようとしていた。痛みに悶えるヘッポコ丸を見て、龍牙は興奮が限界まで高まっているのだった。








どこまでも、龍牙の独り善がりだ。





「っ…ひゃあ!? や…ぁ、なに……っ!?」
「あぁ、ここか?」
「んあぁ!!?」





そんな中、龍牙の指がある一点を掠めた途端、ヘッポコ丸が甘い声を上げた。痛苦に塗れた悲鳴とは違う、快感の色が付いた嬌声。龍牙が確かめるように同じところを押してやると、ヘッポコ丸は背をしならせて鳴いた。龍牙はそれで確信した。そこがヘッポコ丸の前立腺であることを。






龍牙は口角を歪ませ、そこばかりを重点的に攻めた。前立腺を刺激されることによって与えられる快楽は、慣れていないヘッポコ丸にはあまりに強いもので、ヘッポコ丸は声を抑えることも出来ず、龍牙の指の動きに翻弄させられた。苦痛に強ばっていたヘッポコ丸の体は、未知の快楽に絆されるように徐々に弛緩していった。





それによって比較的指が動かしやすくなったようで、龍牙はより大胆に指を動かした。わざと傷口を押して血を出し、潤滑剤の足しとしながら、ヘッポコ丸の体を暴いていく。痛みと快楽の板挟みに遭いながらも、ヘッポコ丸の体は龍牙を受け入れる準備を着々と整えていった。





「あ、ひ…ああっ、あっ…!」
「……もういいか」





その呟きはヘッポコ丸には聞こえていなかった。まだ到底龍牙を受け入れられる程解れてはいないのだが、そんなこと龍牙にはお構い無しだ。引き抜かれた指は血で濡れていて、龍牙はそれを舐めとりながらヘッポコ丸を見下ろし、ニヤリと笑った。そして、ようやく解放されたと荒い呼吸を繰り返しているヘッポコ丸の片足を持ち上げて大きく開脚させると、そのままズボンを寛げてすっかり勃起した自身を取り出し、ヘッポコ丸の後孔に当てがった。





その感触にギクリと身を固くしたヘッポコ丸は、怯えた表情で龍牙を仰ぎ見た。龍牙のほの暗い赤い瞳とヘッポコ丸の真紅の瞳がかちりとかち合う。ヘッポコ丸の震える唇が『うそ』と動いた。下半身を露出させられ、自分でも普段触れない場所に指を入れられ、散々引っ掻き回されて…しかしその先があるとは思っていなかった故の言葉だった。龍牙はそれを聞いてまた笑った。







この何も知らない子供を、自分の汚れた欲望で汚せることが、龍牙にとってはたまらない程の悦びだった。





「や…まって…」
「だーれが、待つか、よっ!」
「ひぃっ!? あ、あああぁぁ!!」





無慈悲に貫かれるヘッポコ丸の肢体。絶叫がフロアに響いた。新たに溢れた血が太腿を伝い落ちていく。やはりまだ挿入には無理があったのだ。その証拠に、締め付けが強すぎて龍牙も痛みに顔を顰めていた。





「っ…やっぱキツいな…」
「うぐっあぁっ…!」





痛みに構わず腰を動かす龍牙。ヘッポコ丸の悲鳴など全く意に介していない。痛い程の締め付けは動くことによって龍牙に確かな快楽を与えていた。溢れた血で自身が赤く染まることも厭わず、龍牙は気ままに腰を動かして快楽を貪った。





内臓を押し上げられる不快感と言いようのない激痛に、ヘッポコ丸は悲鳴を上げて時折少量の胃液を吐き出した。いっそ気を失ってしまえたら楽なのに、龍牙はそれを許してくれない。断続的に、強制的に与えられる痛みと不快感はヘッポコ丸の意識を常に吊り上げ、決して落としてはくれないのだ。









──こんなの、地獄だ。







ヘッポコ丸は泣きながらそんなことを考えた。いきなり拉致されて、逃げ場も無い海上都市に連れてこられて、乱暴に扱われて、訳も分からず性行為を強要され、体感したことの無い激痛と不快感に苛まれて……これを地獄と言わず、何と言うのだろう。





「(助けて…みんな…)」





龍牙の荒い呼吸を感じながら、ヘッポコ丸はまだハレルヤランドで戦っているであろう仲間達に心の中で助けを求めた。届かないと分かっていても、乞わずにはいられなかった。それ程までにヘッポコ丸は追い詰められていた。






そしてそんな状況であるにも関わらず、この行為に少しずつ快楽を拾い始めているこの身が、ひどく惨めだった。相変わらず痛みは強い。しかしその中で時折走る今までとは違う快感。気持ちいいと思ってしまっているのは確かだった。その証拠に、ずっと痛みで萎えていたヘッポコ丸の自身が、頭を擡げ始めていた。声も再び艶を帯び始めていて、悲鳴と嬌声が入り交じっている。





龍牙はその事実に気付いていたが、だからと言ってやることは変わらない。ただ好き勝手に腰を動かして、絶頂へ上り詰めていくだけだ。龍牙はヘッポコ丸をヨくしてやろうなんて微塵も思っていない。自分がヨければただそれでいいのだ。独り善がり極まれり…である。





「はぁ…出すぞ」
「うぁっ!? あぁ、あぁっ…!!」





宣言とほぼ同時に、龍牙はヘッポコ丸のナカで絶頂を迎えた。最奥に叩き付けるように精液を浴びせかけられ、その熱さと腹が満たされるような感覚にヘッポコ丸は身震いして掠れた声を上げた。龍牙は最後の一滴までヘッポコ丸のナカに注ぎ込み、全てを出し切ってようやく一息ついた。二度目の絶頂でも量は多かったらしく、少し腰を引いただけで隙間から溢れてきている。





龍牙とは裏腹に絶頂を迎えるに至らなかったヘッポコ丸は、中途半端に燻る熱を持て余して荒く息を吐いている。発散したいという欲求はもちろんあるのだが、その欲を差し置いてもう終わらせてほしいと切に願っていた。もうこれ以上龍牙に体を弄ばれるのは嫌だった。性の捌け口に使われるのはごめんだった。早く解放してほしかった。楽にしてほしかった。








──その願いが届くことなんて、無いのだけれど。





「何惚けてんだよ。もう終わりだと思ったのか?」





目が虚ろになってきていたヘッポコ丸の髪を荒々しく掴み、龍牙は無理矢理自分の方に顔を向かせた。涙やらなんやらでぐちゃぐちゃになったヘッポコ丸の表情に、もはや最初の強気さは欠片も残っていない。目の前に居るのは、恐怖に怯えるただの子供だった。すっかり戦う気力を失ってしまっているヘッポコ丸を目の当たりにして、龍牙は口角を歪ませ、耳元に口を寄せた。




たったそれだけのことにもビクつくヘッポコ丸に、龍牙は静かにこう囁いた。





「──オレが満足するまで終わるわけねぇだろ?」





その時のヘッポコ丸の絶望した表情が、龍牙が一番好きな表情だった。





















『派手にヤったみてぇじゃん?』
「ギガ様」





あの後三回、龍牙はヘッポコ丸を犯した。最後の一発を終える頃、ヘッポコ丸は既に意識を失っていた。血と精液で下半身は無惨なことになっていて、今まで同じようなことを繰り返してきた龍牙でさえも『ヤりすぎた』と少しだけ反省したほどだった。





今、ヘッポコ丸は呼び戻した機械スーツ達の手によって体を清められている最中だった。勿論ここに風呂やシャワールームなど無いので、機械スーツ達は水を入れたバケツと数枚のタオルを持ってやって来ていた。龍牙が好き勝手に攫ってきた真拳使いで性欲を発散させた後に後始末をやらされるのは、彼らにとっては既に当たり前のことだった。




水に浸したタオルで体を拭われながらも、ヘッポコ丸は身じろぎ一つしない。どうやらダメージはかなり大きいようだ。後孔の傷も決して浅くはなく、機械スーツ達が『もっと優しくしてやりましょうよー』なんて軽口を叩きながらその傷の手当てをしていた。









その光景をぼんやり眺めていると、備え付けのモニターにギガの姿が映し出された。いつも侍らせている女達の姿が見えない。今はどうやら帝王一人らしかった。





「申し訳ありません。少し楽しみすぎました」
『見たら分かるじゃん。お前、壊してねぇよな?』
「大丈夫だと思いますけどね。仮に壊れていたとしても、ギガ様の手でオブジェとなれば同じなのでは?」
『分かってないじゃん龍牙。良い作品ってのは、良い素材から出来るものなんじゃん』
「そういうものっすか? オレ芸術はよく分からないんで」
『分かんなくてもいいけど。とりあえず、さっさとオレの所に連れて来いよ』
「かしこまりました」





龍牙が恭しく腰を折ると、モニターはプツリと切れた。意外に対話は早く終わった。ただの暇潰しだったのかもしれない。龍牙は姿勢を正し、振り返る。ギガと話している間に清め終わったらしく、元通り衣服を整えられたヘッポコ丸がいた。床もすっかり綺麗に磨かれていて、さっきまでの行為がまるで嘘だったかのようだ。機械スーツ達の仕事は完璧であった。





龍牙は静かにヘッポコ丸の元まで歩み寄り、そのまま腰を下ろした。ヘッポコ丸が目を覚ます気配は今のところ無い。龍牙も疲れていたので、すぐにギガの元へ連れていく気は無かったから丁度いい。さっさと、と言われたが、もう少しくらい遅くなっても何も言われないことを龍牙は知っていた。







戯れに綺麗に拭かれた頬に触れる。涙の痕跡も何も残っていない、子供らしさの残る柔らかい頬だった。龍牙はそのまま指先で頬を撫でてやりながら、心の中で呟いた。





「(良い作品になれるといいな、ヘッポコ丸君?)」





自分のモノを銜えていた唇を指先でツツツ…となぞり、龍牙は小さく笑った。ここで散々嬲られた子供は、オブジェへと姿を変えられる時は一体どんな表情を見せてくれるのだろう──そんなことを夢想しながら。













戯れワルツ
(楽しかったぜ)
(次があったらいい…な)



龍屁エロ文です。ギガ屁と詩屁は書いたことあったけど龍屁はないなーと思ったのが書き始めた理由でした。予想以上に龍牙が最低になりました。どうしてこうなった。




次は幸せなエロ文が書きたいですまる←






栞葉 朱那

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