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□リゾット1
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外は白昼のからっとした天気が広がる
生憎南向きの部屋では無いし、いやむしろこの日差しで南向きだと致命的だとは思う
リゾットの自宅兼暗殺チームのたまり場
暗殺チームとはいうが、言うほどよく集まって会うほどでもなかった
今この自宅にはリゾットと、
はっきりとした仲ではないが、誰もが暗黙の了解をしていた恋人、nameのみ
nameは窓際のダブルベッドで横になっている
「今日は涼しいですね」
nameは暗殺チームの寮母のような存在だ
気づけば隣でにこにこしているし、あまり多くは語らない女である
誰もが心を許していたが、リゾットはどうやら彼女に特別な想いを抱いていたし、nameもまた然りで、それとなくそういう仲になった
お互い多くを語らない為か、周りからするとどうも不思議であったらしい
だがそれが居心地良い
「おい、涙が」
「そんな」
nameは震える手で耳へと垂れたそれをなでる。
自然と泣いてしまったのですね と顔を綻ばすが、もうその表情も凍てつき始めていた
nameは元々無免許で医師活動をしていた
責任を問われ行くあてもなかったnameをパッショーネが招き入れた
nameこそ、どちらかといえばカタギの方であった
こちらのお世話にあたるようになったのも諸々あったが、今でこそそれが嬉しいことであり恨めしいことでもある
後者はつまり、スタンド攻撃にあったということだ
nameはスタンド使いではない
パッショーネにスタンド使いがごろごろといることは知っているがそれが見えないためいつ誰に攻撃にあったか覚えていない
次第に筋肉を凍てつかせるもので、
いわゆるALSに似ているが、勿論医療で治るものではない
いずれ心臓を動かす筋肉も止められてしまうということを、誰もがわかっていた
「name、口も動かしづらいか」
「ええ、ええ。悲しい。私本当に非力でした」
「皆さんに会いたい」
残念だが叶わないようで、叶ってしまうのだろう
もう仲間は先日のギアッチョを最後にいなくなってしまった
クソクソと悪態をついていた彼も、車に乗って出かける前にnameのもとへやってきて何か一言二言話したそうだ
「name」
体内から突如大きな凍りつく音がした
驚いてname、とまた声をかけたが大丈夫と物語るように目を弧にした。
「もうそろそろ・・・・・」
等々口が動きづらくなってきた
nameは静かに涙を流しながら、リゾットを見つめた
『死ぬときは、愛された人に抱き締められながら逝きたい』
リゾットはその言葉を思い出し、慎重に彼女を抱きしめた
当然nameから腕は回すことはできなかった
「リゾットさん」
「name」
「私にスタンドが見えたら、世界は変わってたのでしょうか」
「どうだか。ただ、抱き締める奴が違っていたら物悲しいな」
「私もそうです、」
その言葉を最後に一際大きな、鏡の割れたような音が響いた
寝ているような死体は生まれて初めて見たかもしれない
吐血もしてないし、傷跡もない
とても美しかった
nameの髪をひと房指で通し、さらりとした触り心地を名残惜しんだ
こんなに愛した女性は初めてだし、
愛という感情自体もうしばらく忘れてしまっていた
nameはもういない
暗殺する身としては人の死ぐらいなんとも思わないはずだが、
仕事と私情ではこんなにも違うのかとリゾットは胸を痛めつけられ、
今まで亡くなった仲間の死と重なり
涙を流して唇を噛み締めた。