クイーン小説

□贈り物
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その日の夜
トルバドゥール内



「ジョーカーく〜ん」

.........

「ごめんってば、ジョーカーくん!」

全身から怒気を発するジョーカーに謝るクイーン

「何がごめん、ですか!面白がってるでしょ!!」

今にも突きを繰り出しそうなジョーカー

「あーー!待って待って!今日の成果ならちゃんとあるから!」

「成果?」

少しだけ怒気が和らぐ
といっても100だった怒気が99になったくらいだ

「ほ、ほらこれ!」

そう言ってクイーンが差し出したのは小さな箱だった

「...?何ですか、これ...」

「開けてみてくれたまえ!」

得意げに言うクイーンに若干苛立ちながらも恐る恐るサイズの小さなそれを開けるジョーカー

「これは...」

箱の中に入っていたのは、淡い青の宝石が埋め込まれている...

「ペンダント...?」

「そう!綺麗でしょ?」

「このペンダントは仕事に何か関係あるんですか?」

「ない!!」

笑顔で言い切ったクイーンに怒気がレベル500まで一気に跳ね上がる

「ちょ!ち、違うんだって!仕事とは関係ないけど意味はあるんだよ!」

「何ですか?言ってみてください」

冷たく言い放つジョーカー

「えっと、それ、ジョーカーくんへのプレゼント!」

「......え??」

「今日色んなお店を回ってた時に見つけたんだけど、宝石の色が君の瞳にそっくりで。君はきっと贈り物なんてどうでもいいだろうけど私があげたかっただけなんだ」

困ったように、だがいつにない真剣な顔のクイーンに文句を言えないジョーカー

「ジョーカーくん...」

「な、なんですか...」


「ごめんね。ただのわがままって分かってるんだ。君を手放したくなくて、少しでも私とのことを形として残しておきたくなって」

そう言いながら優しくジョーカーの頬を撫でる


「...謝らないでください。」

ありがとうございます、と言って自分の頬を撫でている手を握る

「しょうがない人ですね。大事にさせてもらいます」

「それは光栄だね」

そう言ってキスをしてやると、ジョーカーは怒ったように耳まで赤くなり、
おやすみなさい、と早口で告げて部屋をあとにした。
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