フューシャは輝く
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「あの…こ、これ、なんですか?」
「ん?ああ、それはね…君への贈り物さ」
「えっ!こんなに、悪いですよ!!」
「いいのよ!これから一緒に暮らすんだから、これくらいのことはさせて!!」
翌日、寝ぼけ眼のままリビングへ着いたリエッタの目に飛び込んできたのは、大量のプレゼントボックスだった。
ひしめき合う箱の中でウキウキしているのは、四角い身体が特徴のメタトン。ちゃんと全ての品が届いてるかと長い伝票とにらめっこをしているのは、トカゲのようなモンスターのアルフィーだった。
中身は全てリエッタへと宛てられた物だった。
新しい服にベッドなどの家具、護身用の携帯ナイフも入っていた。
今使っている部屋は、綺麗ではあるが質素なものばかりで女の子の部屋じゃないみたいだと、昨晩リエッタが眠った後に二人で通販を漁りに漁って必要な物を買い揃えたのだ。
淡いピンク色のラッピングが施された箱の中には、ぬいぐるみや化粧品、髪飾りなど、女の子らしいグッズをこれでもかというくらいに詰め込まれていた。
それらを全て部屋に運んで模様替えを終えると、まさに理想の女の子の部屋のように変化を遂げた。
少し大きめにと買ったベッドを覆うキャノピーも、座り心地の良さそうなソファに並べられたたくさんのクッションも、壁に掛かった可愛らしいデザインの時計も、床に敷かれたふわふわのラグも、リエッタがいつか住んでみたいと思い描いていた部屋のようで、思わず感嘆の声が上がる。
「ど、どうかしら…気に入ってくれたかな?」
「とっても嬉しいです…!!ありがとうございます!
私なんかにはもったいないくらい…」
嬉しくて緩んでしまう頬を押さえてそう言うと、アルフィーも嬉しそうに笑った。
「喜んでくれてよかった!!
人間の女の子の部屋って、どうしたらいいか分からなくって」
「アルフィーったら、ずっとああでもないこうでもないって考えてたもんね」
二人の会話は、思っていたよりもずっと穏やかで普通だった。
リエッタが村で聞かされた話によると、モンスターは神様だから、下世話な話はせず、必要なとき以外は会話をしないものだった。
けれど、今目の前で、こうして普通の会話をしている。
モンスターは、神様なんかじゃなくて、私達人間と何ら変わらない生き物なんじゃないか。
「二人は、とても仲が良いんですね」
「んー…そういうものかしら…」
「友達とかとは違う仲の良さかもね。
僕を作ったのはアルフィーなんだよ。
だから、僕にとって彼女は恩人でもあるし友達でもある…かな」
「へぇ、仲良しな人と一緒に住めるのって、憧れます…!」
嬉しそうに笑うリエッタを見て、二人は首を傾げた。
「何言ってるの。これからは、仲良しな三人で暮らすんだよ!!」
「そうね。私達、もう仲良しだもの」
「……!!あ、ありがとう!!」
少し鼻声になったリエッタは、二人に思いきり抱きついた。