短編

□メガネの萌えは人それぞれ
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「あれ、今日トラ男メガネ掛けてる!」
突如そう言ってきたのは同じクラスの友人、モンキー・D・ルフィだった。
「ん?あぁ、これか」
そう言ってローはメガネの縁をクイッと押し上げる。
「目ぇ悪くなったのか?」
「いや、俺は元々視力が悪い。普段はコンタクトだから」
その言葉を聞き、ルフィはローからメガネを取り上げる。
「あ、おい!」
「うわ!なんだこれ?!」
ルフィはローのメガネを付けた瞬間、驚愕の声を上げた。
「麦わら、どうした?」
するとそこへ駆けつけてきたのはまたもや同じクラスで友人のユースタス・キッドだった。
「お前目ぇ悪かったのか?」
「いや、違う。これトラ男の」
そう言ってルフィはメガネを外すとローに返す。
そうしてローがメガネを付けようとすると、今度はキッドに取られてしまった。
「ユースタス屋、テメェ……!」
「お前目悪すぎだろ。視力どれくらいだ?」
苛立つローを無視してキッドは言う。
「知るか。でも英語で言うならD以下だって言われた。だからメガネやコンタクト無しじゃ何も見えねぇんだ」
そう言ってローはため息を吐く。
「じゃあトラ男真っ暗なのか?」
「そう言う意味じゃねぇよ」
ルフィのとんちんかんな発言にキッドが突っ込む。
するとしばらくして何を思ったのか、キッドはローの顔に自分の顔を近づけた。
すると次の瞬間、ビュッと風を切るような音が聞こえた。
「おっ!流石に見えたか」
「見えるわ!テメェ俺をなんだと思ってやがる!」
どうやらローがキッドの頬をグーで掠めた音の様だ。
キッドの発言にローは激怒する。
「ヘイヘイ、悪かったって」
そう言ってキッドは謝ってメガネを返すが、言葉が棒読みだ。
「もうバラす!そこでじっとしてろ!」
「お前今現パロだぞ」
「知るか!」
完全にキレたロー。
それでも綺麗だなと関係ないことを考えるキッド。
「にしてもトラ男、メガネも似合ってんな!」
ルフィのこの一言でとりあえずこの場は収まった。
「まぁ確かに、コンタクトも良いけどメガネも中々だな」
「賢くなったみてぇ!」
「おいおい麦わら屋、お前俺が頭悪いと言いたいのか?」
ローがそう言うとルフィは独特な笑い声を上げる。
「いんや?何か更に頭良くなったみたい」
「誉め言葉として受け取っておく」
「目潤ませれば尚良しだな」
「死ね、バカスタス屋」
そう言ってローはもう一度ため息を吐いた。
「にしても黒縁だからか?インテリに見えんぞ」
「何だそれ」
キッドの言葉にルフィは首を傾げる。
「インテリゲンチアの略だ。簡単には知識階級のことを示す言葉だ」
そんなルフィにローは分かりやすく説明した。
「んー……良くわかんねぇけど、一つだけ思ったことがあるぞ」
ルフィの言葉にローとキッドは首を傾げる。
「トラ男はメガネを掛けたら何かエロい」
その瞬間、ルフィの頭に激痛が走った。
「いってぇ!」
「次はバラす」
「あー、確かに。麦わらのいう通りかも」
「黙れ、バカスタス屋!」
そんなこんなでローの苦労は今日も絶えなかった。
そして次から、この二人の前では絶対にメガネを掛けないと心に誓ったローであった。

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