純愛

□好きなものは好き
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星が降ってきそうな程に美しく空に輝く夜に、王と従者は王宮の広く大きな中庭にいた。
ゆっくりと話しながら歩き、時折手を繋いだり。
彼・ジャーファルは自らの主であるシンドバッド王を愛しげな瞳で見つめると微笑んで空を見上げた。
「シン、星が綺麗ですよ。」
「__ああ、そうだな。」
「私には、貴方の方が綺麗に見えますけど……」
「……そうか。」
少し照れ臭そうに言う彼の顔は新鮮だった。
シン、と振り返ろうとした時 彼はシンに腕を引かれ腰を引き寄せられ 彼の胸元に体を預けることとなった。
誰かに見つかればどうなるのだろうという考えがジャーファルの中を駆け巡り 離れようと体を離そうとすると 更に強く抱き締められ 耳元でシンが「大丈夫だから。」と囁く。
それに可愛らしい反応をし 体の力が抜けた彼は更にシンに抱き着く姿勢となった。
「随分積極的だな、ジャーファル。」
「ひゃっ、違っ!!」
何とも言えない羞恥に襲われた彼はシンを下から睨み付けた。
頬を膨らませ 普段のしっかり者の印象もすっかり消えて 可愛らしい面立ちのジャーファルを見て 不意にもドキッと心臓を高鳴らせたのは、彼だけの秘密

「私は、シンと二人のこの時間が好きです。夜しか…共にいられないけど…」
「ジャーファル………」

夜明けが訪れぬ夜があるのなら良いのに。

二人は目が合った刹那、







どちらからでもなく、キスをした。

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