薄桜鬼_短いもの

□言ってみよう!_LAST 新八さんの場合?
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夕餉が宴会になってしまった都合上、肴を『報復の残飯的な何か』にすることができなくなってしまったのが残念だけど、皆が楽しそうだから善しとしておきましょう。

「るうちゃん、立ってないでここに座りなよ。それとも僕の隣じゃ嫌?」
「沖田さん、また膝枕を強要するつもりでしょ」
「えーっ、あれ気持ちいいんだよ。それに今日は一君にもやってあげたじゃない」

離れているのに聞こえたのか、一君がお酒を勢いよく噴き出してた。もったいない。あとでちゃんと拭いておいてよね。

それはあくまでも沖田さんだけが気持ちいいんですよ! しかも一君にやってたのはこっちに非があってだからでしょ。
とりあえず軽くあしらっておきましょう。


「るう、こいつらに給仕するのはもう十分だからお前も飲め。結構いい酒だぞ」

原田さんがお猪口を勧めてくれた。あれ? 見慣れないお猪口だよ。

「すっごい綺麗で趣味いいですね。どうしたんですか、コレ買ったんですか?」
「いや、この間不知火が『これやる』って持ってきたんだ。南蛮渡来がどうとか言ってたな」
「へえーっ。不知火さんからだったら本物なんでしょうね。高価そう」
「値段はどうだか知らねえけど綺麗だろ。だからこれはるう専用な。ここで飲むときに使ってくれ」
「へっ?」
「これなら他の奴のと区別がつくだろ。普段は俺が管理してるから悪用される心配はないぜ」

またも特別扱いですよ! 嬉しいやら、こそばいやら……えへへ。
顔よし、腕良し(もちろん体よし!)、(ちょっと喧嘩っぱやいけど)性格よし、きっぷもいいし何より女性の扱いに関しては達人な原田さんに『特別女子』扱いしてもらっただけでも今日は居てよかったわぁ。

「えっと……いただきます」

半ば放心状態のままお猪口に口をつける。うん、これはすっきりしてるから飲みやすいけど、後からくる豊潤さがいい感じ。残りは一気に行かせていただいた。

「ぷは〜っ。この味好き!」
「よしよしいい子だ。とりあえず新八が酒問屋にもらった酒らしいから礼を言っとけ」
「はーい……ん? なんで酒問屋さんが新八さんに?」
支払の取り立ては来ても、酒問屋に貢物をもらうようなことは考えつかない。
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