krkの籠球 2

□どんなのがいい? 【陽泉バスケットボーイズ】
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福井と劉が主将をからかっていたら、氷室と紫原がやってきた。
上級生よりも遅く来る下級生というのもどうかと思うが……。

「おはようございます先輩。遅くなりました」
「んー眠い……」

巨大な紫色の子供と称される紫原を『引率』する形で黒髪のフェロモン男子氷室がやってきた。

「オッス。何だよ、紫原はまた『眠い』とかいいながらも菓子食ってんのかよ」
「ははは。とりあえず食べてないと寝ちゃいそうだとかで、とりあえず」
「まぁいいけどよ、部室の中にまいう棒の粉を飛ばすんじゃねぇぞ」
「ふぁぁぁい」

とりあえず良い子のお返事をする。何気に氷室は満足そうな表情。ちゃんと『紫原の調教師』の役割を全うしているという感じか?

「おお、そうだ紫原なんかはどんな子が好みだ?」

福井は先ほどのグラビア誌を二人に渡した。
氷室が受け取り、ぱらぱらとめくっているのを横から紫原が横目でのぞく。

「ねぇ、夏でもないのにオネェさんたちこんなカッコして寒くないのぉ?」

さすが大きな子供。視点が違う。

「アツシ、このお姉さんたちはお仕事だからね。それにこんなふうにキレイに撮ってもらえると嬉しいから寒くはないと思うよ」

対象年齢に合わせた的確なコメントをするのは調教師氷室。
『バスケ以外のことはすべて緩い』とまで言われている2mを超える子供の発言を理解できるように咀嚼して伝えている。

「紫原はこういうの興味ねぇのかよ」
「んー、前も峰ちんがいろいろ見せて騒いでたけど興味ないかもぉ」
「はぁぁぁ、お前ホントに高校男子なのか?」

福井が思わずため息をついた。
お年頃的にはガツガツしていてもおかしくないのだが、どうやらこの点においても紫原の脳は『緩い』らしい。

「紫原は興味がないってことで良いアル。氷室はどうアル?」

ついこの間までアメリカの西海岸に住んでいた帰国子女である。美形でさわやかな笑顔かつにじみ出る色気(福井に言わせるとエロ)にスマートな振舞、加えてモデル並みの長身であるが愛想も良く
非の打ちどころのない夢の王子様なのだ。
更にいえば、時折みせる『日本語に不慣れ感』が母性本能までくすぐるというパーフェクト男子である。
彼の転入には学校中の女性と(一部女性教諭含む)が色めき立ったものだ。

「俺ですか? うーん……どの女性もそれぞれにキレイなので甲乙つけがたいですよ」

丁寧にお断りをするという手で、どれも選ばないということを選択した。
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