薄桜鬼_長いもの
□選べ 夢は幻ではなく現実で見るもの_風間 【完結】
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夜の巡察組が屯所に戻ってきて、一通り報告も終わると屯所に静寂が訪れる。
巡察から戻った者にとっては待ち焦がれた安寧だし、それ以外の人間にとっても休息の時間であることは間違いない。
が、しかしあえてその時間帯にやってくる不届きものがいる。
ちーちゃんと楽しい仲間たち……もとい、鬼の頭領風間千景率いる鬼組のみなさんだ。
今日も前触れなくやってきた。
夜中に彼らが来たのは私が知る限りでは2回目だ。千鶴ちゃんは3回目だと言っていた。
騒がしいので目が覚めて、夜着の上に着物を羽織っていつでも動けるように準備して部屋で息を殺しつつ、格子の隙間から外の状況をうかがう。
「ったく、いつもいつも遅い時間にやってきやがって」
「ほう。負け犬の遠吠とは言ったものだな。言うに事欠いて早い時間なら問題がないとでもいうのか。わざわざ三下どもの目に触れぬように来てやっているのに」
土方さんの言うことはもっともだ。だが、ちーちゃんの発言には驚いた。冗談であっても意外と気を遣ってくれていたらしい。
「っざけんじゃねェ。どうせまた千鶴をさらいに来たんだろうが。アイツは俺たちが守るって決めてンだっていっただろ」
愛刀を構えつつ不敵に笑う風間と対峙する。
それを鼻で笑う風間。
「ふん。残念だがその女鬼の意思を尊重して、お前らの気が変わるまで預けておいてやろう」
「なに!?」
「じゃあ何しに来やがった! こちとらお前らと遊んでる暇なんてねぇンだがな」
「……」
ちーちゃんが土方さんを無視してビシッとこちらに視線を投げた。結構離れてるし格子越しなのに、私と目が合ったように感じてあわてて格子から離れた。