krkの籠球

□不足してます_新手のウイルスに感染中【今吉】
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ショッピングモールのおもちゃ売り場という、何となくこの人とは関連性が見いだせない場所でばったりと出くわした。

「るうやないか。珍しいところで会うもんやな。どないしたんや」
「そういうセンパイこそ何でこんなところに? 私は新作ゲームのチェックですよ」
「せやった。るうはゲーム好きやったな。ワシは従弟の誕生日プレゼント探しや。ほな、るうに見てもろたほうがええかもな」

『ワシ、ゲームせんから人気タイトルもうろ覚えやし』なんて言われちゃ張り切らずにいられないです。
今吉センパイのことを『腹黒眼鏡』などと失礼なことを言う同級生のアホ峰に「いい加減告っちまえ」って言われてますけど、告白する勇気は持っていないです。ヘタレですけどそれが何か?
ですが、好意を抱いた相手にお願いされちゃった(←そこまで言われてはないですけど)ら、やる気2000%に大増量中です!

「従弟さんってどんな方で、どんなものが好きですか?」
「小学校の5年生の男子で、正月に会ったときは何やらモンスターが仰山でてくるのを自慢しとったで」
「いまどき男子ですね。じゃあ流行りのところではコレとコレかな。だけど持ってるかもしれないですね」
「せやな。ちょっと連絡してみるわ」

そう言うとピピッと先方に確認をしてくださった。
『ああワシや。せや太郎のもっとるゲームやけど……』と、連絡しているのが聞こえる。どうやら流行りもののソフトについては既に持っているらしい。

「悪いな。せっかく選んでくれたんに持っとるらしいわ」
「流行りですからね。ん……じゃあこれはどうでしょう。爆発的な人気にはなってないので知らない人は多いですけど、作りは丁寧ですし適度に頭を使うので飽きません」

そう言ってSALEに分類されてしまっていたシューティングRPGを見せる。
正直、これまで数々のゲームをプレイしたけど、このソフトはベスト3に入るぐらいの優秀作品。

「発売されてから結構経ってますが、ゲーマーの中では十分現役だし、この値段で手に入るなんて奇跡です」

「るうがそこまで薦めてくれるんやったらハズさんやろ。おおきに。これにするわ」

そう言ってセンパイはレジへ向かっていった。
ふうっ。緊張したけどすごい達成感。やったね。
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