krkの籠球
□夏休みと宿題 【緑間】
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小学生の夏休みは多忙である。
学校の宿題ドリルなどは問題ない。こんなものは全教科1日あれば十分に終了する。
塾にも通うが、人事を尽くしていれば何も問題など起ころうはずもない。
ただ、『自由研究』と名付けられた基準のない課題を好ましく思うことができないのだよ。
以前提出した『おは朝占いラッキーアイテムの分析』は完璧だったが、返却時の「次はもう少し違うもので」と言われた時のショックは大きかった。多少気にしてはいたのだが、やはり、自分の星座のみに焦点を絞っていたのが先生の気に障ったのだろうか。
今年の自由研究は何にするべきか。激しく悩むところなのだよ。
クラスメイトの何人かは電車でいくスタンプラリーを3つ以上制覇すると言っていた気がする。
しかし、ただスタンプを押して回るだけのそれは自由研究でも何でもない。せわしなく電車の乗り降りをすることと、保護者の金銭を使うだけと俺は思うのだよ。
小学生の時間は無限ではない。
夏休みは約40日間だが、その間に塾の夏季合宿もあり、学校のプールへも通わなければならない。
秋にはピアノの発表会があるので練習もしなければならない。
スポーツクラブにもバスケの練習をしに行こうとも思っている。
それを差し引くと研究に費やせる時間はわずかだ。
しかし、小学生というものは、夏休みという長期休暇に現れる親戚筋に顔を見せる事となる。そして、顔を合わせた親戚はほぼもれなく外へ遊びに連れていこうと提案してくる。
申し訳ないからと、一度は断るのだが気を遣って使っていただいているので、結果として一緒に出掛けることになる。
人事を尽くそうにも尽くしきれないのだ。これはラッキーアイテムをもってしても覆すことができない。
やはり、『自由研究』と名付けられた基準のない研究課題だけは好きになれないのだよ……。