krkの籠球
□溺愛
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「れおちゃん!」
スーパーの前を通りかかったとき偶然にもエコバックを片手にさげたるうが出てきた。
るうは私のかわいい彼女。袋からネギが顔を出していてもかわいいと思っちゃう私もかなり重傷だわ。
「すごいタイミングね」
「ホント。れおちゃんは今日は部活早いね」
「そうなのよ。体育館の床に亀裂が入っちゃって。端っこだから問題はなさそうなんだけど、征ちゃんが安全のために、って早く終わったのよ」
「そうなんだ。良かった」
「良かった、って何が?」
「れおちゃんがケガしなくてよかったと思って。それに……」
「それに?」
頬を赤らめてモジモジしているるうに次の言葉をうながす。
「これかられおちゃんのところに持っていく差し入れを作るところで、後で会えるかなって思ってたけど、ずっと早く会えたからうれしい」
「!!」
言葉を紡ぐよりも抱きしめていた。
「れ、れおちゃん?」
「あーもう、なんて可愛いことを言うのよ。差し入れはうれしいけど、るうが顔を見せてくれるだけで百万倍以上うれしいわよ!」
「れおちゃん苦しいよぉ」
「うふふ、嬉しくてつい力がこもっちゃったわ。まったく。あんまり可愛いことを言うとポケットに入れて持ち歩いちゃうわよ」
「そんなに小さくないもん」
「そうかしら」
私からすればどんなサイズだろうと、いつも一緒にいられるようにポケットに入れておきたいのは本当よ。
「ねえ、差し入れは何の予定だったの?」
「焼きねぎとるう特製の和風ヘルシーハンバークにしようと思ったけど、どうかな」
「るうの作ってくれる中でも1,2を争う好物だわ。ねえ、それはるうの家で作って寮に持ってきてくれるつもりだったのかしら」
「そう。だけど、れおちゃん一緒に作って食べてく?」
「もちろんよ。るうが良いって言ってくれたらだけど」
愛しい彼女に優しく微笑んでウィンク。途端にまっ赤になる1つ年下のかわいい彼女。
「よ、良くなかったら言わないよぉ」
「嬉しいわ。るう、だいすきよ」
ペンギンさん柄のかわいいエコバックをるうから受け取って、るうの空いた手は恋人つなぎ。異なる体温が融合していく。
「ねえ、れおちゃんは何でそんなに優しいの?」
「そう? 大切な女の子を大切にしたいと思うのは普通でしょ。でも、るう以外に大切な女の子は見当たらないから、比べようがないわ。どうかしたの?」
「すうちゃんに言われたの」
すうちゃんというのは、るうちゃんの小学校からの親友で、高校は別になってしまったけど、お互いがお互いの理解者になっている子だ。
「なんて言われたの?」
「るうちゃんは超美形彼氏に溺愛されてるね、って」
溺愛?そうね。してるかもしれないわ。
「溺愛されていてはダメなの?」
指先にチュッとキスをして見つめる。真っ赤よ、るう。
「で、で、『溺愛』を辞書を引いちゃったけど、れおちゃんみたいに素敵な人からこんなに大切にしてもらって良いのかなって、ちょっと思っちゃった」
計算なのか、天然なのか。もう、ちゃんと教えておかないといけないようだわ。
「ねえ、るう」
「なあに?」
こちらに向けたおでこにチュッ。不意打ちの一発。
「ニャッツ!?」
びっくりして大きく見開いた眼に顔を写す。そして壁に俺の手をついて俺と壁の間で身動きできなくする。
「馬鹿なことを気に病むな。溺愛? 俺にそれをさせられるのはお前だけだ。この先も他の誰にもしねぇよ」
ちょっぴり低めの声でささやいた。
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れおちゃんと壁ドン!今夜は泊り確定で。
小太郎くん、届出よろしくね♪