薄桜鬼_短いもの

□一言で言い表せません_3 甘い甘いお菓子みたいに
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今日は月に一度の屯所内大掃除の日。以前、松本先生に『不潔すぎる』と言い渡されてから各自の部屋も定期的に徹底的な掃除をすることになっている。
共有部分は私と千鶴ちゃんで日々キレイにしているし、松本先生に言われてからは隅っこのほこりも逃がさないように、小枝で小さな箒を作って汚れと埃撃退にいそしんでいるので、そうそうは不潔にならない。
でも、一部『先月もやっているのに、なぜそうまで汚くなってしまうのか』と原因不明な汚部屋が存在(点在?)するので、一つ一つ住人無視で強制清掃を行っている最中です。

「まったく! なんで同じような生活をしているはずなのに、こんなにも住環境に差があるのよ」
「その点については俺も同感だね。八っつあんが何であんなに汚せるのかがわかんねぇ」
「巡察に出ててくれて助かったぜ。その場にいたら絶叫モンだよな」
「ま、そうかもね……っていうか、私が絶叫しそうだったわよ。左之さんと平助くんがいてくれて助かったわぁ」

そうなのだ。たった今『汚部屋主』と名高い新八さんの部屋を成敗(?)してきました。先月も千鶴ちゃんと斎藤さん、平助くんの助力をいただきましてかなりの『汚部屋原因』を廃棄処分したばかりなのに、今月もなぜか大量の廃棄物が出た。

先月は運悪く作業中に巡察から本人が戻ってきてしまい、これは捨てられないだの、自分でやるだの、廃棄の邪魔ばかりされたので今月は出発直後から清掃を始めてます。人数は先月より少ないけど、容赦なく廃棄する人で構成したので作業が進みました。ってか、平助君は自分のだと隠すくせに他人の荷物だと廃棄に容赦がないのよね。

「新八が昼巡察の日を掃除の日にするよう土方さんにこっそり進言したるうの戦術勝ちだな」
「まぁね。だけどつっかれたよぉ。この1件で今日は仕舞にしたいぐらい」
「あとは誰のとこだ? 千鶴と分担してんだろ」
「後の人は大したことないんだと思うんだ。私の分担は山南さん、一君、左之さん、平助君、井上さん、山崎さん、伊東さん、総司かな。
山南さんのところだって機材が多いだけだと思うから楽だと思うんだよね」

指折り数えながら自分の分担幹部の名前をあげていく。

「その面子なら人手はいらなそうだな」
「えっ!? るうが俺の確認役なのかよ」

気持ち半べその見えるのは気のせいなのですかね、平助くん。

「何か疚しい物とかイカガワシイ物があるなら、とっとと片付けてきてね」

疲れすぎで魂抜けそうなんで、柱にもたれて平助君にひらひらと手を振る。見ようによっては『あっちいけ』かも。ごめん、平助くん。気遣う余裕はないかも。

「そうだよ。僕のるうちゃんに余計な迷惑かけないでよね。遊ぶ時間が減っちゃうじゃない」
頭上からやや不満気な総司の声がする。

「ンだよ。そういう総司こそ自分トコは大丈夫なのかよ。るうの手をかけさすなよ」
「平気だよ。普段からキレイにしてるからね。るうちゃんが」
「あっそ」
「だから平助は早く行きなよ」

仕方ねぇなぁ。とブツブツ言いながら平助くんが席を立つ。とりあえず『また後でね〜』とだけ声をかけた。
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