薄桜鬼_短いもの

□言ってみよう!_5 一君の場合
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先日は左之さんにお姫様だっこのまま拉致られて楽しいひととき(一夜?)を過ごした立浪です。
ですが本日も性懲りもなく屯所に出没中。次のネタ(お相手)にされるターゲット(犠牲者?)は誰でしょうか。

ふんふんふん、と鼻歌を歌いながらお庭をお散歩です。
さて、誰かに出くわすかな?

………あれ?

…………あれれ?

お庭を一周してみましたが、誰にも会えませんでした。
巡察に出てる隊があるのはわかってるけど、全員でお出かけってことないですよね。
みんなどこに行っちゃったんだろ。

できればまだお相手してもらってない人がいいんですが、この際平助くんでリベンジでもいいかな……なんて考えてたら、いい人を道場で見つけました。

一君です。
真面目で寡黙で実直な副長の忠実なポチ。

さて、彼と楽しむ(←目的変わってる?)にはどうしたらいいでしょうかね。


清とした道場に張りつめた静寂の中に一君が一人、居合の構えをしています。
空気が氷のようにぴっと張りつめた感じです。目に見えないものなのに、すごく張りつめた壁を感じます。すごく不思議。

広い道場に一君がひとり。十分に場所はあるけれど、ずうずうしい私でも中に入ることは遠慮してしまう。
窓からのぞくのが精いっぱい。……かぶりつきですが。

どのくらいそのままの姿勢でいたのかはわからないけど、一君が構えを解いて息を吐いた。
「いつまで覗いている気だ?」
瞼をふせたまま声をかけられた。

「えへっ、気づいてた?」

「当たり前だ」

さすが達人。ってことはずっと見てた私の気配が五月蠅いってことだったかな。
ゴメンナサイ、集中のじゃましてたってことだよね。とりあえず謝っておこう。

「ごめんね。集中してたのに邪魔しちゃったんだよね」
「別にかまわん。アンタがそこに居るぐらいは問題ない」

「ところで何用だ」

思いっきり『用件は手短に言え』って言われてるみたいに聞かれちゃいました。
さっきの光景を見てしまった後なんで気軽に「遊ぼ」なんて言えない雰囲気。
どうしようかなぁ。

「うんとー。綺麗な一君を見にきた、なんてのはダメかな」

「男に『綺麗』だなどとつけるな」

ちょっとムッとした一君。あちゃー怒られちゃったよ。
でも思ったことをそのまま一番似合う言葉で表現したんだから、怒らせているばっかりじゃいけないよね。
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